日米安全保障条約をめぐり、ドナルド・トランプ前米大統領が再び不満を表明しました。北大西洋条約機構(NATO)加盟国の国防費負担について言及する中で、「日本は米国を防衛する必要はない」という従来の主張を繰り返したのです。この発言は、日米同盟のあり方について改めて議論を呼ぶ可能性があります。
トランプ氏の発言と背景
2025年3月6日、ホワイトハウスでの記者会見で、トランプ氏はNATO加盟国の国防費負担の少なさを批判しました。その中で、日米安保条約についても触れ、「米国は日本を防衛する義務があるが、日本には米国を防衛する義務がない」と指摘し、この現状に不満を示しました。さらに、「日本は米国から経済的に大きな利益を得ているのに、このような不均衡な条約は誰が結んだのか」と疑問を呈しました。
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実は、トランプ氏が日米安保条約に同様の不満を表明するのはこれが初めてではありません。2019年の訪日時に一度、同様の発言をしています。当時も、日本の国防費負担の少なさを問題視し、日米同盟の不均衡性を指摘していました。
専門家の見解と日本の現状
戦略国際問題研究所(CSIS)の日本専門家、ニコラス・セーチェーニ氏は、トランプ氏の発言は「技術的に不正確」だと指摘しています。戦後長らく日本の軍事活動は憲法によって制限されていましたが、近年、憲法解釈の変更により、一定の条件下では集団的自衛権を行使し、米国を防衛する支援を行うことが可能になっています。具体的には、日本と密接な関係にある国への武力攻撃が日本の存立を脅かす場合などが想定されています。
日本は近年、防衛費を増額し、自衛隊の能力向上にも努めています。また、日米共同訓練なども積極的に実施し、日米同盟の強化に尽力しています。しかし、トランプ氏の発言は、これらの努力を十分に評価していないようにも見えます。
日米同盟の今後
トランプ氏の発言は、日米同盟の将来について改めて議論を呼ぶ可能性があります。日本は、日米同盟の重要性を認識しつつ、自主的な防衛力強化と国際貢献に努める必要があります。同時に、米国との間で、より対等なパートナーシップを構築していくための努力も必要となるでしょう。今後の日米関係の動向に注目が集まります。