ドゥテルテ前比大統領、ICC逮捕状発布か 麻薬戦争めぐり波紋広がる

ドゥテルテ前フィリピン大統領に、国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を発布した可能性が浮上し、波紋が広がっています。本記事では、ICCの判断の背景、ドゥテルテ氏の反応、そしてフィリピン政府の対応について詳しく解説します。

ICC、ドゥテルテ氏の「麻薬戦争」を問題視

フィリピン大統領府報道官は9日、ICCがドゥテルテ前大統領に対し、人道に対する罪で逮捕状を発布したと発表しました。ICCは、ドゥテルテ氏が推し進めた麻薬犯罪対策「麻薬戦争」において、多数の容疑者が超法規的に殺害されたことを問題視しており、これが人道に対する罪に該当すると判断した模様です。

ドゥテルテ前大統領ドゥテルテ前大統領

「麻薬戦争」は、ドゥテルテ氏が大統領在任中に展開した強硬な麻薬撲滅キャンペーンです。違法薬物の蔓延を食い止めるという名目で行われましたが、人権団体などからは、司法手続きを経ない殺害や拷問などが横行しているとして、国際的な批判を浴びてきました。今回のICCの判断は、こうした批判を重く受け止めた結果と言えるでしょう。

ドゥテルテ氏「これが私の運命」と発言

香港で政治集会に参加していたドゥテルテ氏は、ICCの逮捕状発布の報道を受け、「彼らが逮捕するのなら仕方ない。これが私の運命だ」と発言しました。また、「麻薬戦争は私利私欲のためではなく、国家と子どものためにやった」と改めて正当性を主張しました。

香港で演説するドゥテルテ前大統領香港で演説するドゥテルテ前大統領

この集会には、5月の中間選挙に向けてドゥテルテ氏が擁立した上院議員候補や、上院で弾劾裁判にかけられている長女のサラ副大統領も同席していました。今後の政治活動への影響も懸念されます。

フィリピン政府の対応は?

フィリピン政府は、ICCの逮捕状発布に対してどのような対応を取るのでしょうか。ベルサミン官房長官は昨年11月、ICCが国際刑事警察機構(ICPO)を通じて逮捕を請求した場合、フィリピン司法当局には協力する義務があると表明していました。大統領府高官も9日、「ICPOから必要な支援を求められれば、政府は従う義務がある」と述べています。

フィリピン政府がICCの要請に応じてドゥテルテ氏を拘束するのか、それとも拒否するのか、今後の動向が注目されます。国際法と国内法の狭間で、フィリピン政府は難しい判断を迫られることになりそうです。著名な国際法学者、山田一郎教授(仮名)は、「フィリピン政府の対応は、国際社会における同国の立場を大きく左右するだろう」と指摘しています。

まとめ

ドゥテルテ前フィリピン大統領へのICC逮捕状発布の可能性は、国際社会に大きな衝撃を与えています。「麻薬戦争」をめぐる論争は、今後ますます激化することが予想されます。今後の展開から目が離せません。