ウクライナ軍がロシア西部クルスク州で厳しい状況に直面しているというニュースが世界を駆け巡っています。1万人規模の部隊が展開していたクルスク州で、一体何が起こっているのでしょうか?この記事では、ロシア軍のドローン戦略、ウクライナ軍の苦境、そしてトランプ前大統領の政策転換が及ぼした影響について、専門家の意見を交えながら詳しく解説していきます。
ロシア軍ドローン部隊の猛攻:ウクライナ軍の兵站を崩壊寸前まで追い込む
ロシア軍精鋭のドローン部隊による執拗な攻撃が、ウクライナ軍の兵站を著しく圧迫していることが明らかになっています。特に、ウクライナ軍の突出部の中心地であるスジャ町への幹線道路が標的となり、多数の車両が破壊されました。独立系アナリストのアンドルー・パーペチュア氏によると、ロシア軍の「ルビコン」先進無人技術センターが高度なドローン戦術を駆使し、ウクライナ軍の電波妨害をかわすFPV(一人称視点)自爆ドローンを投入しているとのことです。パーペチュア氏が作成した2月25日更新のマップには、スジャへの幹線道路で数十回ものドローン攻撃が行われたことが記録されており、これがウクライナ軍のクルスク侵攻の転換点となった可能性が指摘されています。
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ウクライナ軍の苦境:クルスク州からの撤退を余儀なくされるか?
ロシア軍のドローン攻撃により補給線が断たれたウクライナ軍は、突出部の北端からスジャ町への撤退を強いられています。スジャ町では、ロシア軍が古いガスパイプラインを利用してウクライナ側の陣地への侵入を試みるなど、激しい攻防が繰り広げられています。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は、「ロシア軍はクルスク州内と国境沿いの橋を破壊し、ウクライナ軍の退路を断とうとしている」と警告を発しています。2月上旬にはクルスク州で前進していたウクライナ軍「シベルシク」作戦戦術集団(OTG)ですが、ロシア軍のドローン戦略の前に苦境に立たされているのです。
トランプ前大統領の政策転換:ウクライナへの支援停止が戦況に影を落とす
ロシアへの融和姿勢を強めていたドナルド・トランプ前大統領が、ウクライナへの軍事援助と情報共有を停止したことも、ウクライナ軍の苦境に拍車をかけています。欧州諸国からの支援で補える部分もあるとはいえ、米国からの情報が得られなくなった影響は大きく、ウクライナ軍の対応が遅れる可能性も懸念されます。米国のシンクタンク、戦争研究所(ISW)は、「米国による情報共有の停止と、ロシア軍によるクルスク州での攻勢強化には関連性がある」と分析しています。
今後の展望:ウクライナ紛争の行方は?
ロシア軍のドローン戦略の成功、ウクライナ軍の苦境、そしてトランプ前大統領の政策転換。これらの要素が複雑に絡み合い、クルスク州、ひいてはウクライナ紛争全体の行方を左右する可能性があります。今後の動向に、より一層の注意が必要です。