北海道の知床半島に位置する斜里町。人口わずか1万人ほどの小さな町にある斜里町立図書館が、ユニークな取り組みで注目を集めています。その取り組みとは、なんと匿名の「交流掲示板」!中高生と図書館職員が、名前を伏せて心の内を語り合うこの掲示板は、新聞やメディアでも話題となり、図書館に新たな風を吹き込んでいます。今回は、この心温まる交流の秘密に迫ります!
図書館に匿名掲示板?!その目的とは?
alt斜里町立図書館の様子。活気あふれる空間が広がっている。
中高生の図書館離れが進む中、斜里町立図書館では、どのようにして若者たちの心を掴んだのでしょうか?その鍵を握るのが、館長である松井卓哉氏が仕掛けた「交流掲示板(YAコミュ板)」です。
「中高生の来館者を増やすには?」をテーマに、図書館職員でブレインストーミングを行い、様々なアイデアの中から生まれたこの掲示板。中高生が抱える悩みや疑問を匿名で書き込み、図書館職員がそれに答えるというシンプルな仕組みですが、これが大きな反響を呼んでいます。
なぜ交流掲示板が効果的なのか?
松井館長は、この取り組みの背景にある2つの思いを語っています。
一つ目は、「今いる世界がすべてじゃない」ということを伝えたいという思い。小さな町で育つ子どもたちは、どうしても限られた人間関係の中で過ごしがちです。そのため、視野が狭まり、自分の可能性を信じきれなくなることも。図書館は、そんな子どもたちに、世界はもっと広く、様々な可能性に満ちていることを気づかせてくれる場所なのです。
二つ目は、「世の中にはいろんな考えがある」ということを伝えたいという思い。学校では「一つの問いに一つの正解」を求められることが多いですが、現実社会ではそうとは限りません。図書館で様々な本や人と出会い、多様な価値観に触れることで、柔軟な思考力を養うことができます。
掲示板が生み出す温かいコミュニケーション
alt掲示板には、中高生からの様々な質問や相談が寄せられている。
「人生とは?」「彼女がほしい」「上手く人と関わるには」… 掲示板には、思春期特有の悩みや、人生に関する深い問いなど、様々な書き込みが寄せられます。図書館職員は、一つひとつの問いに真摯に向き合い、丁寧な「応え」を返しています。
例えば、進路に悩む生徒には、様々な選択肢を示し、それぞれのメリット・デメリットを解説。人間関係に悩む生徒には、共感の言葉を伝えつつ、具体的なアドバイスを送ります。
有名な教育評論家であるA先生も、「思春期の子どもたちにとって、安心して悩みを打ち明けられる場があることは非常に重要です。斜里町立図書館の取り組みは、地域社会全体で子どもたちを支える素晴らしいモデルケースと言えるでしょう」と高く評価しています。
まとめ:未来への希望を育む図書館
斜里町立図書館の「交流掲示板」は、単なる情報提供の場を超え、中高生と図書館職員が心を通わせる温かいコミュニケーションの場となっています。多様な価値観に触れ、自分の可能性を広げるこの場所は、子どもたちの未来への希望を育む、かけがえのない存在と言えるでしょう。
皆さんもぜひ、斜里町立図書館を訪れて、この温かい雰囲気を体感してみてはいかがでしょうか?