JPモルガン・チェースのCEO、ジェイミー・ダイモン氏は、わずか2ヶ月前まではトランプ前大統領の関税政策を擁護し、「乗り越えればいい」と強気な姿勢を見せていました。しかし、最近の株式市場の低迷と米国経済の不確実性を受け、ダイモン氏の関税に対する見方が変化している兆候が見られます。
ダイモン氏の発言の変遷:楽観論から慎重論へ
2ヶ月前、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)において、ダイモン氏は関税を「経済的ツール」にも「経済的武器」にもなり得るとし、状況次第では「乗り越えられる」と発言していました。CNBCのインタビューでも、国家安全保障の観点から関税政策を支持する姿勢を見せていました。
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しかし、12日に行われた米ニュースメディア「セマフォー」のインタビューでは、以前とは異なるトーンで発言しています。ダイモン氏は、「平均的な消費者は関税の記事を読んだからといって行動を変えるとは思わない」としながらも、「企業にとっては状況が異なる」「不確実性は好ましくない」と述べ、関税政策の影響に対する懸念をにじませました。
市場と経済への影響:関税政策の行方
ダイモン氏の懸念は、近年の株式市場の乱高下と無縁ではありません。S&P500はここ1ヶ月で7%以上下落しており、市場の不安定さが増しています。
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ブラックロックのラリー・フィンクCEOも、関税政策によって経済が弱体化しつつあるとの認識を示しています。ただし、フィンク氏は長期的な視点では米国経済に利益をもたらす可能性もあると指摘し、関税率自体が将来的に低下していく可能性を示唆しました。
専門家の見解:関税政策の評価は分かれる
経済アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「ダイモン氏の発言の変化は、市場の反応と経済への影響を注視していることの表れだろう」と分析しています。「短期的な市場の混乱は避けられないとしても、長期的な視点で関税政策のメリット・デメリットを慎重に見極める必要がある」と指摘しています。
今後の展望:不確実性の中での舵取り
関税政策の行方は依然として不透明であり、市場や経済への影響も予測困難です。ダイモン氏をはじめとする経済界のリーダーたちは、今後の動向を注視しながら、自社の経営戦略を練っていく必要に迫られています。