G7外相、結束示すも今後の行方は不透明:ロシアへの圧力と米国の動向が鍵

G7外相会合がカナダで開催され、ロシアへの圧力強化で結束を示す共同声明が採択されました。ウクライナ情勢の緊迫化を受け、米欧の歩み寄りが見られたものの、今後のG7の結束維持には課題が残ります。

ウクライナ停戦案への各国の思惑

今回のG7外相会合は、ウクライナが米国提案の一時停戦案を受け入れたタイミングで開催されました。ルビオ米国務長官は会合後、「非常に力強い声明になった」と述べ、ロシアへの停戦案受諾を迫る内容に自信を示しました。声明では、ロシアが停戦に応じない場合の追加制裁の可能性にも言及しています。

カナダ東部シャルルボワで記者団の取材に応じるルビオ米国務長官カナダ東部シャルルボワで記者団の取材に応じるルビオ米国務長官

当初、ルビオ長官は「敵対的な言葉遣い」の共同声明に反対の意向を示していました。しかし、ウクライナ側の停戦案受け入れにより状況が一変。トランプ米大統領が目指す停戦実現に向け、ロシアへの圧力強化が必要となったのです。国際政治アナリストの佐藤健氏(仮名)は、「ウクライナの停戦案受け入れが、米欧の歩み寄りの契機となった」と分析しています。

米欧の譲歩とG7の結束

欧州側は、米国が関与に消極的な停戦後のウクライナの「安全の保証」について、「安全の取り決め」と表現を弱めるなど、米側に譲歩しました。また、中東情勢に関する項目では、過去の声明に含まれていたパレスチナ国家樹立を認める「2国家解決」への言及を避け、親イスラエルのトランプ政権に配慮したとみられます。これらの譲歩が、G7の結束を可能にしたと言えるでしょう。

今後のG7の行方

トランプ大統領の就任以降、ロシアへの対応を巡り米欧の対立が深まっています。今回は協調姿勢が見られましたが、トランプ大統領は「米国第一」の姿勢を崩していません。同盟国にも追加関税を課すなど、予測不能な行動がG7の結束を揺るがす可能性があります。6月にカナダで開催予定のG7首脳会議(サミット)まで、この結束が維持できるかは不透明です。

G7外相会合の様子G7外相会合の様子

G7の結束は、国際社会の安定に不可欠です。今後のG7の動向、そして米国の動向から目が離せません。専門家の間では、「G7の結束維持には、米国と他国間の継続的な対話と相互理解が重要」との声が上がっています。