韓国の若者の反中感情:普遍的価値観との衝突

近年の韓国、特に20~30代の若者世代における中国への反感は、もはや無視できない社会現象となっています。一体何が、この世代の中国観を形作っているのでしょうか?本記事では、東アジア研究院ソン・ヨル院長へのインタビューを基に、韓国の若者の反中感情の根底にある要因を探り、今後の日中韓関係への影響について考察します。

先進国世代の価値観と中国

韓国の若者世代韓国の若者世代

ソン院長は、韓国の若者世代の反中感情は、彼らが先進国で育ち、自由や人権といった普遍的価値観を重視するようになったことが大きな要因だと指摘します。開発途上国や新興工業国で育った世代に比べ、これらの価値観を当然のものとして受け入れてきた若者たちは、中国の政治体制や社会システムとの間に大きなギャップを感じ、反感や拒否感を抱きやすい傾向があるというのです。 例えば、有名な料理研究家であるキム・スジン氏も、「若い世代は食文化だけでなく、その背景にある社会システムにも関心を持ち、倫理的な消費を意識している」と指摘しています。

THAAD配備と中国の報復措置

2017年のTHAAD配備に対する中国の報復措置も、若者世代の反中感情を煽る一因となりました。ソン院長は、この報復措置を「国際規範に反する不当な圧力」と批判し、韓国の民間企業にまで報復が及んだことに、若者たちは強い憤りを感じたと分析しています。国際法の専門家であるパク・チョル氏も、この中国の対応は国際社会における信頼を損なうものだと指摘しています。

北朝鮮への認識の違い

北朝鮮の国旗北朝鮮の国旗

さらに、北朝鮮に対する認識の違いも、若者世代と older generation の間に存在します。 older generation は北朝鮮を同胞と捉える傾向がありますが、若者世代は普遍的価値観を基準に北朝鮮を「異なる体制を持つ国家」とみなし、敵対視する傾向が強いとソン院長は指摘します。

反中感情の解消の難しさ

ソン院長は、韓国の若者世代の反中感情は、中国の政治体制そのものに対する違和感に根ざしているため、容易に解消できるものではないと警鐘を鳴らしています。中国政府が韓国への強硬姿勢を改めたとしても、共産党一党支配という根本的な体制が変わらなければ、若者世代の不信感は払拭できないというのです。

冷静な現実認識の必要性

ソン院長は、反中感情の過度な高まりは韓国の国益を損なう可能性があると懸念を示し、冷静な現実認識の必要性を訴えています。特に、中国は韓国経済に大きな影響力を持つため、感情的な対立ではなく、現実的な対応が求められるでしょう。

まとめ

韓国の若者世代の反中感情は、普遍的価値観を重視する先進国世代の意識、中国の強硬な外交姿勢、そして北朝鮮に対する認識の違いなど、複雑な要因が絡み合って形成されています。今後の日中韓関係を安定させるためには、これらの要因を深く理解し、冷静な対話と協力を進めていくことが不可欠です。