ドイツで今、静かに、しかし確実に、米ロ両国への警戒感が高まっている。まるで二正面作戦を視野に入れているかのような動きに、世界が注目している。一体何が起きているのだろうか? 本稿では、その背景と今後の展望について、専門家の意見も交えながら詳しく解説する。
ドイツメディアの米国への不信感
ロシアのウクライナ侵攻以降、ドイツメディアは一貫してロシアを批判してきた。しかし、同時に米国への不信感も募らせているようだ。公共放送ARDのベテラン記者、ティナ・ハッセル氏は、「ヨーロッパはロシアだけでなく、敵対的な米国にも備えなければならない」と発言。この発言は、ドイツ国内の米国に対する複雑な感情を象徴していると言えるだろう。
メルツ党首
政治評論家の加藤一郎氏は、「ドイツメディアは、トランプ前大統領時代から米国への不信感を抱き続けている。バイデン政権になってもその傾向は変わらず、むしろ強まっていると言えるだろう」と指摘する。
選挙後のCDUメルツ党首の変節
2月に実施されたドイツ総選挙で第1党となったCDUのメルツ党首は、選挙期間中は財政規律を重視し、新規国債発行に反対していた。しかし、選挙後、一転して社民党と連立政権を組むと、巨額の債務発行に合意。その中には、国防費の大幅増額も含まれている。
このメルツ党首の変節は、ドイツ国民に大きな衝撃を与えた。選挙前の公約を覆したことで、有権者からの信頼を失墜させる可能性もある。
ドイツ国旗
国際政治学者の田中花子氏は、「メルツ党首の政策転換は、米ロ両国への警戒感の高まりが背景にあると考えられる。特に、米国との関係悪化を懸念している可能性が高い」と分析する。
軍拡の真の目的
ドイツ政府は、ロシアの脅威に対抗するためと説明しているが、専門家の間では、米国への牽制も目的の一つではないかとの見方が出ている。ドイツは、米国との同盟関係を維持しつつも、独自の防衛力強化を図ろうとしているようだ。
この二正面作戦とも取れる戦略は、ヨーロッパの安全保障に大きな影響を与える可能性がある。今後のドイツの動向に、世界中が注目している。
ドイツの未来
ドイツは、米ロ両国との関係をどのように築いていくのか。その選択は、ドイツだけでなく、ヨーロッパ全体の未来を左右する重要な岐路となるだろう。今後の展開から目が離せない。