トランプ政権への反発、世界的なボイコット運動に発展か?

アメリカ、ドナルド・トランプ前大統領の政策や言動に対する国際的な反発が、ボイコット運動へと発展している。アーティストの公演キャンセルから企業の不買運動まで、その動きは多岐にわたり、今後の世界経済にも影響を与える可能性が懸念されている。

各国で広がるボイコットの波

著名なドイツ人ヴァイオリニスト、クリスティアン・テツラフ氏は2025年夏のアメリカツアーをキャンセル。トランプ前大統領の権威主義的な政策や、アメリカのエリート層の民主主義への対応に強い懸念を示し、怒りを露わにした。

トランプ政権への反発、世界的なボイコット運動に発展か?著名ヴァイオリニスト、公演キャンセルで抗議の意思表示

カナダでは、貿易関税やトランプ前大統領の「カナダを米国の51番目の州にする」といった発言への反発から、消費者によるアメリカ製品のボイコット運動が活発化。「Buy Beaver」「Maple Scan」「Is This Canadian」といったアプリが登場し、消費者はバーコードをスキャンすることでアメリカ製品を簡単に識別し、購入を避けることができるようになっている。

企業もボイコット運動に参加

イーロン・マスク氏が率いるテスラも、ボイコットの標的に。マスク氏がトランプ政権で「政府効率化省」を率いていたことが、テスラの株価急落につながったとされている。

北欧諸国でも反米感情が高まっている。スウェーデンでは、7万人以上が参加するFacebookグループでアメリカ企業のボイコットが呼びかけられ、代替品の情報共有が行われている。デンマークの大手食料品チェーン「Salling Group」は、ヨーロッパ製品に黒い星のタグを付け、アメリカ製品との区別を容易にする取り組みを開始した。

ノルウェーの石油会社「Haltbakk」は、アメリカ海軍艦船への燃料供給停止という大胆な措置を発表。2025年2月にホワイトハウスで行われたウォロディミル・ゼレンスキー大統領(当時)とトランプ前大統領の会談を「茶番劇」と批判し、抗議の意思を表明した。

経済への影響は?

イギリスのガーディアン紙は、これらのボイコット運動は「ある意味で予測可能だった」と指摘。トランプ前大統領が2025年に大規模な関税導入を示唆した際、サントリーホールディングスの新浪剛史CEOはフィナンシャル・タイムズ紙に対し、国際的な消費者がアメリカブランドを避ける可能性が高いと警告していた。サントリーは、関税と感情的な反発により、特にアメリカンウイスキーが海外市場で受け入れられにくくなると想定し、戦略を練っていたという。

トランプ政権への反発、世界的なボイコット運動に発展か?カナダ製品をアピールするマーク

専門家の見解

国際経済アナリストの田中一郎氏(仮名)は、「今回のボイコット運動は、単なる一時的な感情的反発にとどまらず、長期的な消費行動の変化につながる可能性がある」と指摘する。「特に若い世代を中心に、倫理的な消費への関心が高まっている。企業の政治的スタンスが、消費者の購買決定に大きな影響を与える時代になっていると言えるだろう。」

今後の展望

ボイコット運動の広がりは、アメリカ経済に深刻な打撃を与える可能性がある。ガーディアン紙は、この動きが今後さらに拡大する可能性を指摘している。国際社会の反発が、トランプ前大統領の政策にどのような影響を与えるのか、今後の動向に注目が集まる。