大阪万博:喫煙所問題、メタンガスへの懸念は払拭できるのか?

2025年大阪・関西万博の開幕が間近に迫る中、会場内の喫煙所問題が注目を集めています。会場内は完全禁煙ですが、会場外に設置される喫煙所の安全性について、メタンガス発生の可能性という不安の声が上がっています。この記事では、その現状と課題について詳しく解説します。

メタンガス発生の可能性と喫煙所問題

万博会場は、もともと一般・産業廃棄物などを埋め立てたエリアです。埋め立て地では可燃性のメタンガスが発生しやすいことが知られており、昨年3月には会場と同じエリアの建設現場で爆発火災が発生しました。この事故を受け、日本国際博覧会協会は会場内に換気設備を設置するなど対策を講じていますが、懸念は完全には払拭されていません。

大阪万博会場大阪万博会場

東西2つある入退場ゲートのうち、大阪メトロ中央線・夢洲駅に近い東ゲート付近には2カ所の喫煙所が設置され、計約400人を収容できます。しかし、シャトルバスが発着する西ゲート付近は、メタンガス発生のリスクが高いため、喫煙所の設置が見送られました。

専門家の見解

建築エコノミストの森山高至氏は、「埋め立て地の工事では、メタンガスが放出される場所を把握したうえで、適切な位置にガス抜き管を埋め込み、滞留を防ぐのが一般的です。西ゲート付近の喫煙所設置が断念されたということは、いまだに万博会場では適切なガス抜き処置が行われていない可能性があります」と指摘しています。2018年に夢洲での万博開催が決定してから、ガス放出の場所を十分に把握しないまま、拙速に工事を進めてしまった懸念が残るとのことです。

喫煙者の負担と安全対策の両立

西ゲートから東ゲートの喫煙所までは、およそ1.1キロ、徒歩で約15分かかります。喫煙者にとっては大きな負担となるだけでなく、会場内のどこでメタンガスが漂っているか分からない状況では、引火事故の危険性も払拭できません。

潜在的なリスク

森山氏は、「メタンガスは排水溝など、地下にある空間に滞留しやすい。たばこをこっそり吸った来場者が吸い殻を排水溝に捨てたりすれば、引火して爆発事故につながる可能性も否定できません」と警鐘を鳴らしています。本来は、ガスの滞留しない会場内の屋外広場で喫煙を許容する方が安全ですが、現在の社会情勢では難しいとのことです。

大阪万博シンボル大阪万博シンボル

万博の成功に向けて

メタンガス対策と喫煙所問題は、万博の成功に大きく影響する可能性があります。来場者の安全を最優先に、より効果的な対策が求められています。関係者には、透明性のある情報公開と、迅速かつ適切な対応を期待したいところです。