韓国首相弾劾案棄却、ハン・ドクス首相職務復帰へ

首相の弾劾訴追をめぐる憲法裁判所の判断が下され、ハン・ドクス首相の職務復帰が決定しました。国民の関心を集めたこの審判、その詳細と今後の影響について詳しく解説します。

憲法裁判所、弾劾案を棄却

2023年3月24日、憲法裁判所はハン・ドクス首相に対する弾劾訴追案を棄却しました。国会での弾劾訴追案可決から87日間にわたる審理の結果、棄却5、却下2、認容1という意見が示されました。これにより、ハン首相は直ちに職務に復帰し、大統領権限代行としての職務を再開することになります。

棄却の理由とは?

棄却意見を提示した裁判官のうち4名は、ハン首相による裁判官候補者任命保留は憲法や法律に違反すると判断しました。しかしながら、罷免を正当化する理由としては不十分であると結論付けました。また、他の裁判官は任命保留は違憲・違法ではないとの見解を示しました。

altalt

尹大統領への共謀・黙認は認められず

国会は、ハン首相が尹錫悦大統領の非常戒厳宣言に共謀または黙認・ほう助したとして罷免を求めていましたが、この主張は認められませんでした。憲法裁判所は、ハン首相が積極的な行為をしたと認められる証拠や資料は不十分であると判断しました。

唯一の認容意見、その内容は?

唯一、認容意見を出したチョン・ゲソン裁判官は、ハン首相のいわゆる「内乱特検」候補者推薦の遅延は特検法・憲法・国家公務員法への重大な違反であり、裁判官任命拒否と同様に罷免に値する過ちだと主張しました。

弾劾訴追の議決要件をめぐる議論

大統領権限代行の弾劾訴追に必要な議決要件をめぐり、大統領基準(200議席)と首相基準(151議席)のどちらを適用すべきかという議論がありました。憲法裁判所は首相基準の適用を妥当と判断しましたが、一部の裁判官からは大統領基準を適用すべきだという反対意見も出されました。

ハン首相、山火事鎮火に尽力へ

職務復帰後、ハン首相は嶺南地方で発生している山火事への対応に全力を注ぐと表明しました。首相室や国務調整室からの報告を受け、政府ソウル庁舎で執務を開始する予定です。

altalt

今回の弾劾訴追案棄却により、ハン首相の職務復帰が決定しましたが、今後の政局への影響は避けられないでしょう。引き続き、政治の動向に注目が集まります。