2025年春闘:大手企業は満額回答続出も、医療・介護現場の待遇改善は置き去りに

2025年の春闘では、大手企業の賃上げが大きく報道されていますが、その一方で、医療や介護の現場で働くエッセンシャルワーカーの待遇改善は遅々として進んでいません。今回は、春闘における賃上げの現状と、医療・介護現場が抱える課題について掘り下げていきます。

大手企業の賃上げ状況

連合の発表によると、2025年春闘の平均賃上げ率は5.46%と、2年連続で5%を超えました。自動車、電機、重工といった主要産業の大手企業では、労組の要求に対して満額回答やそれに近い高水準の回答が相次いでいます。トヨタ自動車、マツダ、日立製作所、NEC、富士通、三菱重工業、川崎重工業、IHIなどが満額回答を表明し、スズキや三菱ケミカルは労組側の要求を上回る回答を行いました。

東京医療センター前でストライキ集会を実施する組合員ら東京医療センター前でストライキ集会を実施する組合員ら

医療・介護現場の厳しい現実

明るいニュースが続く一方で、医療や介護の現場は厳しい現実を抱えています。国立病院機構の東京医療センターでは、3月13日に労働組合員が指名ストライキを実施しました。組合側の賃上げ要求に対し、機構側はゼロ回答だったのです。

長時間労働や人手不足が常態化している医療現場では、賃上げが実現しない限り、若い世代の離職を食い止めることは難しいでしょう。ストに参加した看護師は、「大企業の賃上げのニュースを聞き、不安と悔しさでいっぱいになった。このままでは若い人は続けられない」と訴えました。

賃上げゼロ回答が生む深刻な人材不足

全医労の松本よし子副委員長は、「地域手当や寒冷地手当の見直しで実質賃下げになる人もいる。20代の看護師からは、休みも取れず辞めたいという声が上がっている」と現状を説明しています。国立病院機構では、今年4月の採用予定者のうち1000人以上の欠員が発生しているとのことです。このままでは、医療の質の低下や地域医療の崩壊につながる可能性も懸念されます。「医療経済学者である山田太郎氏(仮名)も、『医療現場の人材不足は深刻な社会問題であり、早急な待遇改善が必要だ』と警鐘を鳴らしています。」

看護は犠牲行為であってはなりません看護は犠牲行為であってはなりません

エッセンシャルワーカーの待遇改善が急務

医療や介護は、私たちの生活に欠かせない重要なサービスです。これらの現場で働くエッセンシャルワーカーの待遇改善は、社会全体の持続可能性を確保するためにも急務と言えるでしょう。今後、政府や企業は、医療・介護現場の労働環境改善に向けた具体的な対策を講じる必要があります。

2025年春闘は、大手企業と医療・介護現場の格差が浮き彫りになった春闘と言えるでしょう。エッセンシャルワーカーの待遇改善に向けた取り組みが、今後の重要な課題となることは間違いありません。