アメリカ軍によるイエメンの親イラン武装組織フーシ派への攻撃に関する機密情報が、通信アプリのチャットで米誌記者に漏えいした問題が波紋を広げています。バンス副大統領が攻撃に疑問を呈し、欧州批判を展開していたことが明らかになり、政権内の対立が浮き彫りとなりました。
バンス副大統領、フーシ派攻撃に反対の姿勢
米誌アトランティックの報道によると、バンス副大統領はフーシ派への攻撃は「間違いだと思う」と発言。石油価格の高騰を招く恐れや、スエズ運河の利用が多い欧州が恩恵を受けることを理由に、攻撃を1カ月延期すべきだと主張しました。「欧州をまた救済するのは嫌だ」との発言もあり、かねてから欧州に批判的なバンス氏の姿勢が改めて露呈しました。
バンス米副大統領(ワシントン)
政権内で見解の相違、高まる批判の声
一方、ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、攻撃の費用を欧州に負担させることを検討していると説明。ヘグセス国防長官もバンス氏の欧州批判には同調しつつも、トランプ大統領の指示に基づき、航路再開のために「今が良い時期だ」として攻撃を擁護しました。政権内での見解の相違が鮮明となっています。
使用された通信アプリは秘匿性の高い「シグナル」。バイデン前政権でも使用されていましたが、軍事作戦に関する協議での使用はリスクが高いと元当局者らは指摘しています。
議会からも批判が噴出。上院軍事委員会のウィッカー委員長(共和党)は真相究明と適切な措置を表明し、シューマー院内総務(民主党)も「驚くべき違反行為」と非難しました。
ウォルツ氏辞任の可能性も?今後の展開に注目
ホワイトハウス内では、記者をチャットに招待したウォルツ氏の辞任を求める声も上がっている一方、現時点ではウォルツ氏を支持する関係者もいると米メディア「ポリティコ」は報じています。また、トランプ大統領が攻撃に反対したバンス氏や機密情報を共有したヘグセス氏を批判する可能性も指摘されています。
今後の焦点
- 漏洩経路の特定と責任追及
- ウォルツ氏の処遇
- フーシ派への今後の対応
- 政権内における対立の行方
今回の漏洩事件は、米政権内の亀裂を露呈させるとともに、今後のイエメン情勢にも影響を及ぼす可能性があります。今後の展開に注目が集まります。