大阪市住之江区のATCシーサイドテラス内に設置されていたストリートピアノをめぐり、運営側が謝罪し、ピアノ撤去の方向で進めていることが明らかになりました。事の発端は、フードコート内に設置されたピアノの演奏に対し、「練習は家でしてください」という掲示が出されたこと。この掲示がSNSで拡散され、ストリートピアノの意義や公共空間での音楽活動のあり方について、大きな議論を巻き起こしました。
「練習は家で」の掲示で炎上、運営側の真意とは?
ATCシーサイドテラスのフードコートに設置されたストリートピアノは、当初「誰でも自由に演奏できる」ことを目的として設置されました。しかし、演奏技術にばらつきがあることや、練習中の演奏に苦情が寄せられたことから、運営側は「練習は家でしてください」「手前勝手な演奏は『苦音』です」といった強い表現を用いた掲示を出すに至りました。
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フードコートという公共の飲食スペースに設置されたストリートピアノ。演奏する側と食事を楽しむ側の調和が課題となった。
運営側の意図としては、苦情への対応やピアノ撤去の回避、そして演奏者への配慮もあったと考えられます。しかし、その表現方法が適切でなかったことは否めません。ストリートピアノ演奏の促進に取り組む団体「みんなのピアノ」代表の山田花子さん(仮名)は、「演奏技術に関わらず、誰でも気軽に音楽を楽しめるのがストリートピアノの魅力。今回の掲示は、その精神に反するものであり、非常に残念です」とコメントしています。
ストリートピアノとは何か?設置場所の課題も浮き彫りに
今回の騒動は、ストリートピアノの設置場所についても議論を巻き起こしました。フードコートのような飲食スペースは、食事を楽しむ人々にとってリラックスできる空間であるべきです。そこにストリートピアノを設置することで、演奏の音量や演奏者のマナーによっては、食事中の顧客に不快感を与える可能性も否定できません。
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ストリートピアノの設置場所選定は、演奏者と周囲の人々双方への配慮が不可欠。
音楽評論家の佐藤一郎さん(仮名)は、「ストリートピアノの設置は、地域活性化や文化振興に繋がる素晴らしい取り組みです。しかし、設置場所の選定や運用方法については、より慎重な検討が必要と言えるでしょう。演奏者だけでなく、周囲の人々への配慮も欠かせない要素です」と指摘しています。
運営側が謝罪、ピアノは撤去へ 今後のストリートピアノのあり方は?
運営側は、一連の騒動を受け、公式X(旧Twitter)で謝罪文を掲載。「表現が適切でなかったことを深く反省しております」「多くの皆様に不愉快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした」と陳謝し、ピアノは撤去の方向で進めていることを明らかにしました。
今回の騒動は、ストリートピアノの意義や公共空間での音楽活動のあり方について、改めて考えさせられる出来事となりました。ストリートピアノが、誰もが楽しめる文化として根付いていくためには、演奏者と地域住民、そして運営側が互いに理解し合い、より良い環境づくりを目指していくことが重要です。
今回の騒動を教訓に、今後のストリートピアノ設置・運営においては、より丁寧なコミュニケーションと、設置場所の適切な選定が求められるでしょう。