屋根点検商法の闇:巧妙化する手口と若者を狙う“牛飼”の正体

近年、悪質な屋根点検商法による被害が後を絶ちません。巧妙な手口で高齢者のみならず、若者もターゲットにされている実態が明らかになってきました。今回は、大阪市中央区のリフォーム会社「新日立建託」を舞台に起きた事件を基に、その手口と背後に潜む人物像に迫ります。

SNSで高収入を謳い若者を勧誘

事件の中心人物とされるのは、“牛飼”と名乗る斎藤大器容疑者。SNSで派手な生活をアピールし、高収入を夢見る若者を勧誘、リフォーム会社「新日立建託」に送り込んでいたとされています。一見普通の求人に見せかけ、「営業職」「テレアポ」といった職種を提示。しかし、面接では「黒い仕事できるの?」といった言葉で応募者を試していたという証言も出ています。

alt="斎藤容疑者とみられる人物のSNS投稿(左)と知人提供の写真(右)"alt="斎藤容疑者とみられる人物のSNS投稿(左)と知人提供の写真(右)"

巧妙な“点検商法”の手口とマニュアルの存在

斎藤容疑者は、応募者を「新日立建託」の従業員として採用するだけでなく、彼らに“点検商法”の手口を指南するマニュアルも用意していたとみられています。マニュアルには、「屋根の鉄板が外れかけていて危険」などと不安をあおり、不要な工事を契約させるためのトークスクリプトが詳細に記載されていたといいます。

専門家による解説:「流動型犯罪」の新たな形か?

犯罪学の専門家である京都大学大学院法学研究科の山田教授(仮名)は、今回の事件について次のように分析しています。「SNSを駆使して人材を集め、マニュアルに基づいて犯行を組織的に行わせる手法は、いわゆる“流動型犯罪”の新たな形態と言えるでしょう。従来の組織犯罪とは異なり、メンバーが流動的で特定しにくいため、捜査が難航する可能性があります」。

被害を防ぐためには?消費者へのアドバイス

このような悪質な商法の被害に遭わないためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?国民生活センターの担当者は、「訪問販売では、契約を急がずに、複数の業者から見積もりを取るようにしましょう。少しでも不審な点があれば、消費生活センターに相談してください」と呼びかけています。

まとめ:社会問題化する“点検商法”への対策強化を

今回の事件は、巧妙化する“点検商法”の実態と、若者を巻き込む新たな犯罪の手口を浮き彫りにしました。関係当局による更なる捜査の進展と、消費者保護に向けた対策強化が求められます。