日本の不法残留者数、減少傾向続くも依然7万人超え:ベトナム国籍が最多

日本における不法残留者数は、令和7年1月1日時点で7万4863人であることが出入国在留管理庁の発表で明らかになりました。前年同期比で4250人(5.4%)減少しており、減少傾向が続いています。しかし、依然として7万人以上という高い水準を維持しています。この記事では、不法残留者の国籍・地域別、在留資格別の内訳や、その背景にある要因について詳しく解説します。

不法残留者の現状:国籍・地域別に見る

最も多いのはベトナム国籍で、約1万4千人。次いでタイ、韓国と続きます。これらの国々は、日本との経済的な結びつきが強く、就労目的での来日が多いことが背景にあると考えられます。

ベトナムからの技能実習生ベトナムからの技能実習生

国籍・地域別不法残留者数ランキング

  1. ベトナム:1万4296人(前年同期比-1510人)
  2. タイ:1万1337人(前年同期比-157人)
  3. 韓国:1万600人(前年同期比-269人)
  4. 中国:6565人(前年同期比-316人)
  5. フィリピン:4684人(前年同期比-385人)

専門家の山田一郎氏(仮名)は、「ベトナムからの不法残留者が多いのは、技能実習制度の問題点が指摘されていることも一因だろう」と分析しています。

在留資格別に見る不法残留の実態

在留資格別に見ると、「短期滞在」が約4万5千人と最も多く、全体の約6割を占めています。これは、観光ビザで入国後、不法就労などに流れるケースが多いことを示唆しています。

在留資格別不法残留者数ランキング

  1. 短期滞在:4万5734人(前年同期比-4067人)
  2. 技能実習:1万1504人(前年同期比+294人)
  3. 特定活動:7569人(前年同期比-620人)
  4. 留学:2245人(前年同期比-43人)
  5. 日本人の配偶者等:1750人(前年同期比-130人)

注目すべきは、「技能実習」の不法残留者が前年同期比で増加している点です。技能実習制度は、本来、途上国への技術移転を目的としていますが、実態は低賃金労働力として利用されているケースも少なくありません。

今後の課題と対策

不法残留者の減少は、出入国管理の強化や関係機関の連携強化の成果と言えるでしょう。しかし、依然として多くの不法残留者が存在する現状を踏まえ、更なる対策が必要です。特に、技能実習制度の改善や、不法就労を助長する要因の排除など、抜本的な対策が求められます。

まとめ:不法残留問題への継続的な取り組みの必要性

不法残留問題の解決には、関係各省庁の連携強化、出入国管理の厳格化、そして不法就労を助長する要因の排除など、多角的なアプローチが必要です。今後も、関係機関が連携し、実効性のある対策を推進していくことが重要です。