JA(農業協同組合)は、農家の生活を支える協同組織として設立されました。しかし、近年、そのJAで「不正販売」や「自爆営業」が蔓延しているというショッキングな現実が明らかになっています。組合員の声に耳を傾け、JAが抱える問題点と、その闇に迫ります。
共済事業と信用事業への過度な依存
JAの主要事業は、農産物の販売だけでなく、共済(保険)事業と信用(銀行)事業も大きな柱となっています。しかし、これらの事業への過度な依存が、職員への過大なノルマ設定、そして不正販売へとつながっているのです。
全国に1000万人以上の組合員を抱える巨大組織JA。その内部で何が起こっているのでしょうか?元「日本農業新聞」記者の徹底取材により、その実態が徐々に明らかになってきました。
JA共済の闇
顧客に損をさせる営業の実態
「JAとぴあ浜松」(静岡県浜松市)のライフアドバイザー(LA)であるAさんは、JA内部の不正行為について赤裸々に語ってくれました。「共済を推進する職員の中で、お客さんが不利益を被る営業をしたことがない人はまずいない」という衝撃的な証言。Aさん自身も、顧客に損をさせる営業をせざるを得ない状況に追い込まれているといいます。
JAとぴあ浜松は、組合員数約8万人、総資産1兆3056億円、貯金1兆2088億円、共済事業の長期保有契約高3兆5846億円という巨大なJAです。この巨額の契約高は、多くの顧客の犠牲の上に成り立っているというのです。
不利益な共済商品とその営業手法
一体どのような共済商品が、どのように販売されているのでしょうか?Aさんの証言によると、顧客のニーズを無視した、高額で不要な共済への加入を迫られるケースが後を絶たないといいます。
例えば、既に十分な保障額の保険に加入している顧客に対し、さらに別の共済への加入を勧誘する、といったケースです。顧客にとっては無駄な出費となるにも関わらず、ノルマ達成のために無理な営業が行われているのです。
農家の苦悩とJAの責任
食料安全保障の観点からも重要な役割を担うJA。しかし、その内部で蔓延する不正行為は、農家の生活を脅かすだけでなく、JAへの信頼をも失墜させています。
農業経営コンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、「JAは本来、農家の利益を守るための組織であるはずです。しかし、現状は、利益追求に走り、組合員を軽視しているように見えます」と指摘します。
JAは、その設立理念に立ち返り、真に農家の味方となる組織へと生まれ変わる必要があるのではないでしょうか。
JA改革への道筋
JA改革に向けては、透明性の確保、コンプライアンスの徹底、そして何よりも組合員の声に耳を傾けることが重要です。不正行為を根絶し、農家の信頼を取り戻すためには、JA自身の本格的な改革が不可欠です。
不正販売の実態を明らかにし、問題解決への糸口を探るべく、今後もJAの闇に迫っていきます。