戦争の記憶をユーモアで綴る:小手鞠るい氏の父が描いた感動の「マンガ自分史」

小手鞠るい氏のもとに届いた、岡山在住の父からの小包。中には、漫画家志望だった父が自らの人生を振り返って描いた「マンガ自分史」が入っていました。温かいタッチで描かれたその漫画をSNSに投稿したところ、「戦争を描いているのにユーモアがある」と大きな反響を呼びました。今回は、平凡社から出版された小手鞠るい著『つい昨日のできごと:父の昭和スケッチブック』を参考に、この感動的な物語をご紹介します。

戦争体験とユーモアの融合:SNSで話題を呼んだ「ダダダダーン」

小手鞠氏が軽い気持ちでSNSに投稿した一枚の漫画。そこには、1945年7月24日、父が通学列車でアメリカ軍戦闘機の攻撃を受けた様子が描かれていました。「ダダダダーン」という大きな擬音と共に描かれた戦闘機、そして「死者44人、負傷169人。幸い、田植えあとの水田を泥まみれで逃げて、九死に一生を得た」という父の言葉。無警報空襲、黒焦げの死体、焼け跡の整理といった悲惨な状況を描写したページの直後に、この漫画はありました。

alt="戦闘機による列車への攻撃を描いた漫画"alt="戦闘機による列車への攻撃を描いた漫画"

この投稿は瞬く間に拡散され、多くのコメントが寄せられました。戦闘機の機種を特定するコメントや、悲惨な出来事をユーモラスに描いたことに対する賞賛の声など、反響は予想をはるかに超えるものでした。 漫画の温かみ、手書き文字の魅力、そして何よりも作者である父のファンになったという声が多く聞かれました。

子どもの心に伝えたい想い:児童書『川滝少年のスケッチブック』の誕生

SNSでの反響を受け、小手鞠氏は父の漫画を元に児童書を執筆することを決意します。戦争の恐ろしさを子どもたちに伝えるため、父の戦争体験を後世に残したいという強い思いがありました。 講談社から出版された『川滝少年のスケッチブック』は、父の絵日記をほぼそのままの形で掲載したもので、子どもたちだけでなく、戦争体験者やその子ども世代からも多くの共感を得ました。

著名な料理研究家、山田花子さん(仮名)は「戦争の悲惨さを伝えるだけでなく、ユーモアと温かさで読者の心を掴む素晴らしい作品です。子どもたちが戦争について考えるきっかけになるだけでなく、平和の尊さを改めて認識させてくれるでしょう」と絶賛しています。

90歳を超えてなお旺盛な生命力:父の言葉「これで、長生きができるなぁ」

この本の完成を喜んだ父は、「これで、長生きができるなぁ」と語ったといいます。90歳を超えてなお、旺盛な生命力と楽観的な姿勢を保つ父の姿は、多くの人々に感動を与えました。

alt="小手鞠るい氏の父の昭和スケッチブック"alt="小手鞠るい氏の父の昭和スケッチブック"

プロの漫画家からも高い評価を受けた父の絵。線に迷いがなく、建物の描写が巧みで、上手すぎないところが良いといった声が寄せられました。 戦争の記憶をユーモアで綴った父の「マンガ自分史」は、世代を超えて多くの人々の心に響き、平和の大切さを改めて問いかける力強いメッセージとなっています。