ユン・ソクヨル前大統領の罷免から一夜明けた5日、ソウル景福宮で開かれた「汎市民大行進」は、祝祭ムードに包まれました。しかし、参加者たちの表情には喜びとともに、これからの韓国社会の再建への強い決意が見て取れました。 罷免はゴールではなく、新たなスタート。「民主主義の勝利」を祝う一方で、「新しい世界を迎えよう!」という力強いスローガンが響き渡りました。
市民の声から生まれる「社会大改革」への道
123日間に及ぶ非常戒厳宣言を経て実現した大統領罷免。この歴史的な出来事を機に、韓国社会では真の変革を求める声が湧き上がっています。広場には労働者、農業者、青少年、女性など、様々な立場の人々が集まり、それぞれの経験に基づいた改革案を訴えました。「尹錫悦即時退陣・社会大改革非常行動」(非常行動)は、これらの声を集約し、12分野118項目、さらに細分化すると424項目に及ぶ「社会大改革に向けての課題」としてまとめました。
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特に注目すべきは、性平等と気候危機に関する項目の多さです。パク・クネ前大統領の罷免時と比較しても、これらのテーマへの関心の高まりが顕著です。非常行動のキム・ジュホ政策企画チーム長は、ユン政権下で後退したこれらのテーマを改めて強調する必要性を訴えています。これらの課題は野党との協議を経て、次期大統領選挙の主要議題となる予定です。「共に民主党」をはじめとする6野党も、市民参加型の社会大改革への協力を表明しています。
多様な声、多彩な課題
憲政秩序の回復、政治・司法改革、経済・暮らしの問題、言論の自由、教育改革など、課題は多岐に渡ります。 韓国社会の抱える構造的な問題を根本的に解決するため、幅広い分野での改革が求められています。例えば、経済分野では、格差是正や雇用創出、生活費の安定化などが喫緊の課題として挙げられています。教育分野では、教育機会の均等化や質の向上、青少年の健全な育成などが重要視されています。
罷免の先にある「再び巡りあう世界」へ
罷免はあくまで通過点。真の目標は、より良い社会の実現です。牙山市から参加したチョ・ヒョンさんは、「過去の時間が報われた喜びとともに、新たな始まりの重みを感じている」と語りました。憲法の価値が尊重される社会の実現を願う声は、多くの市民に共通しています。
車椅子で参加したチン・ウンソンさんは、広場に集まった人々の多様性を強調しつつ、連帯の重要性を訴えました。異なる立場の人々が互いを理解し、共通の目標に向かって共に歩む。その姿勢こそが、真の社会変革を実現するための力となるでしょう。
集会では、K-POPグループaespaの「Whiplash」や、ロックバンド無限軌道の「君に」のメロディーに乗せて、「世界を変えろ」というスローガンが響き渡りました。ユン前大統領の罷免は、韓国社会にとって大きな転換点となりました。市民の声を力に変え、真に「再び巡りあう世界」を実現できるのか。今後の動向に注目が集まります。