中国軍の空母艦載機が海上自衛隊のP3C哨戒機に異常接近した事案を巡り、中国側は日本を批判した。ただ、今回の件で、回復基調にある日中の外交関係に影響が及ぶ可能性は低いとみられる。
中国外務省の林剣副報道局長は12日の記者会見で「中国の正常な軍事活動を日本が接近して偵察していることが、安全上のリスクを引き起こす根本原因だ。中国はこのような危険な行為をやめるよう求めている」と主張した。
一方で、林氏は「両国の防衛当局が既存のルートを通じて意思疎通を維持している」とも語った。
中国が他国の航空機や船舶に異常接近したり危険な行為をしたりする事例は、今年も相次いでいる。
オーストラリア政府は2月13日、南シナ海上空でパトロール中の豪軍の哨戒機が、中国軍の戦闘機から「火炎弾」(フレア)を発射されたと発表した。
豪メディアによると、搭乗員のけがや機体損傷はなかったが、フレアは30メートル以内の至近距離を通過したという。豪側は中国に抗議した。
5月21日には、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島海域で、海洋調査中のフィリピン政府の船舶に対し、中国海警局の船舶が放水し、側面に衝突する事案が発生した。
フィリピン政府は「攻撃的な妨害だ」と中国側を指弾した。ロイター通信が報じた。
これらの事案に対し、中国は相手国側が領空侵入や接近をしてきたと一方的に主張し、自らの「正当性」を強調する。
中国国営テレビも、中国沿岸で中国軍のヘリが外国のヘリを追いやった動画を報道するなど、強硬な姿勢を示している。【北京・畠山哲郎】