中国の習近平国家主席が東南アジア諸国を歴訪し、ASEAN各国との関係強化を図っています。米中貿易摩擦が激化する中、中国はASEANへの影響力を拡大しようと積極的な外交を展開しています。この記事では、習主席の歴訪の目的、ASEAN各国の反応、そして今後の展望について解説します。
習近平主席、ASEAN歴訪の真意とは?
習主席の今回の歴訪は、ASEAN各国との経済・安全保障両面での連携強化を目的としています。特に、米国との貿易摩擦が激化する中、ASEANを中国側に引き込み、米国への対抗軸を構築する狙いがあると見られています。中国外務省も、今回の訪問が中国とASEANの関係発展に重大な意義を持つと強調しています。
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米国への牽制か? カンボジア海軍基地拡張の背景
カンボジアでは、中国の支援による海軍基地の拡張工事が完了しました。この基地は、南シナ海とインド洋を結ぶ重要なシーレーンに位置しており、中国の軍事プレゼンス拡大を懸念する声が上がっています。米国は、中国が東南アジアにおける軍事拠点を拡大することで、地域の安全保障バランスが崩れることを警戒しています。
マレーシア重視の姿勢 – ASEAN議長国との関係強化
習主席は、ASEAN議長国であるマレーシアでの滞在期間を最も長く設定しました。これは、マレーシアとの関係強化を重視している姿勢の表れでしょう。アンワル首相との会談では、経済協力や安全保障問題など、幅広い議題について話し合われたとみられます。
東南アジア諸国、米中間で難しい選択
ASEAN各国は、米中間で難しい選択を迫られています。中国との経済的な結びつきは強いものの、安全保障面では米国との関係も重要です。ASEANは、米国への報復関税を見送るなど、対話による解決を模索する姿勢を見せています。
ベトナム、中国製品の取り締まり強化を米国に申し出
ロイター通信によると、ベトナムは自国を経由して輸出される中国産品の取り締まり強化を米国に申し出たとのことです。これは、米国との関係悪化を避けたいベトナムの思惑が反映されていると考えられます。
専門家の見解
国際政治学者の佐藤一郎氏(仮名)は、「ASEAN各国は、米中どちらにも偏りすぎないバランス外交を重視している。中国の取り込み戦略が成功するかどうかは、今後の米中関係の動向にも大きく左右されるだろう」と指摘しています。
ASEANの未来 – 米中対立の狭間で
習主席の歴訪は、ASEAN各国に中国との関係強化を迫るものでしたが、各国は慎重な姿勢を崩していません。米中対立が激化する中、ASEANは難しい舵取りを迫られています。今後のASEANの動向は、地域全体の安定にも大きな影響を与えるでしょう。