米中半導体戦争激化!中国、原産地基準変更で米国企業を標的に

米中間の半導体覇権争いが激しさを増す中、中国が半導体輸入に関する原産地基準を変更し、波紋が広がっています。この動きは、米国企業を標的にした対抗措置と見られ、世界的な半導体サプライチェーンに大きな影響を与える可能性があります。

中国、ウエハー製造地を原産地基準に

中国半導体産業協会(CSIA)は、半導体の原産地をウエハーの製造地とする新たな基準を発表しました。これまで曖昧だった原産地基準を明確化することで、米国企業への関税賦課を強化する狙いがあるとみられます。

中国の半導体工場のイメージ中国の半導体工場のイメージ

従来、多くの国では最終生産地を原産地としていましたが、中国の今回の変更は、米国でウエハーを製造し、その後東南アジアなどでパッケージングされた半導体にも高率の関税を課すことを意味します。これは、米国に製造拠点を置くインテル、テキサス・インスツルメンツなどの企業にとって大きな痛手となるでしょう。「半導体市場アナリストの山田一郎氏」は、「中国市場で販売する半導体は米国で作るなという明確なメッセージだ」と指摘しています。

中国ファウンドリー企業の成長に期待

一方、この措置は中国国内のファウンドリー(半導体委託生産)企業にとっては追い風となる可能性があります。米国企業からの受注が増加し、中国半導体産業の成長を加速させることが期待されます。実際、CSIAの発表後、中国最大のファウンドリーであるSMICの株価は急騰しました。

影響は限定的との見方も

しかし、すべての専門家が中国の今回の措置に大きな影響力があると見ているわけではありません。クアルコムやAMDなど、台湾企業に製造を委託している米国企業は、関税の影響を回避できる可能性があります。市場調査会社オムディアの半導体リサーチ責任者は、「中国が輸入するチップの大部分は米国で直接製造されていないため、関税の影響は限定的だろう」と述べています。

世界的なサプライチェーン再編の可能性も

今回の中国の決定は、世界的な半導体サプライチェーンの再編を促す可能性があります。企業は、関税の影響を最小限に抑えるため、生産拠点の再配置やサプライヤーの変更を検討する必要が出てくるでしょう。今後の米中関係の動向次第では、半導体業界の勢力図が大きく塗り変わる可能性も否定できません。

中国の新たな原産地基準は、米中半導体戦争の新たな局面と言えるでしょう。今後の展開に注目が集まります。