韓国社会で深刻化する外国人嫌悪。発展途上国からの労働者、国際結婚の移民、留学生など、社会の周縁に追いやられた人々が標的となっています。極右集会での公然たる敵意、ネット上にあふれるヘイト表現…。多くの人々がこの状況を「当たり前」として受け入れている現状に、私たちは警鐘を鳴らさなければなりません。
外国人を取り巻く厳しい現実
言葉や文化の壁、限られた社会資源の中で、外国人は嘲笑や無視の対象になりがちです。「無知」と見下され、努力しても「欲深い」と非難される。こうした矛盾した敵意はどこから生まれるのでしょうか？
韓国在住の外国人の推移
憎悪のピラミッド：偏見から暴力へ
社会心理学者ゴードン・オールポートは、偏見を「十分な根拠もなく他者を否定的に見る態度」と定義しました。そして、この偏見が放置されると、言葉の攻撃から差別、暴力、さらには虐殺へとエスカレートすると警告しています。犯罪学者ブライアン・レヴィンは、この概念を「ヘイト・ピラミッド」として体系化し、偏見から暴力への段階的な進行を示しました。
社会不安が憎悪の温床となる
不安定な社会状況は、ヘイトの温床となります。生活苦や孤独感に苛まれる人々は、その原因を「異質な存在」に転嫁しがちです。歴史を振り返れば、ナチスによるユダヤ人迫害、朝鮮戦争時の虐殺など、憎悪は常に悲劇の始まりでした。2018年の済州島へのイエメン難民申請者の入国時にも、ネット上で偏見が拡散し、彼らの定着は「国家安全保障上の脅威」と歪曲されました。外国人関連の事件報道後、すぐに「強制送還」を求める声が上がる現状は、社会に根深く残る偏見の証左です。
憎悪の連鎖を断ち切るために
では、どうすればこの「憎悪のピラミッド」を逆転できるのでしょうか？
自己の内面を見つめ直す
「ただの考え」と偏見を正当化することは、時に他者の命を脅かします。ヘイトスピーチの問題点、その結果を深く考え、周囲と対話することが重要です。より良い社会は、相互理解と学びから始まります。
言語の学びと共感
「その言葉は間違っている」と言うだけでなく、「なぜ傷つくのか」「どんな困難を抱えているのか」を語り合い、耳を傾けることが大切です。共感は技術であり、連帯はその実践から生まれます。
制度的な支援の必要性
社会的包摂は、個人の善意だけでは実現できません。雇用、住居、教育、福祉など、あらゆる分野で差別をなくすための法整備と政策が必要です。その第一歩として、差別禁止法の制定が不可欠です。「多文化共生支援センター」のような施設の拡充も有効な手段と言えるでしょう。例えば、東京大学社会科学研究所の加藤教授は、「制度的な支援こそが真の共生社会実現への鍵」と指摘しています。
私たちはどの段に立っているのか？
沈黙は、次の段階への加担を意味します。しかし、弱者に手を差し伸べ、共に悩み、言葉を交わし合うことで、ピラミッドは崩れます。「包容力のある社会」の実現は、現代社会の喫緊の課題です。
