強制動員被害者の遺族、日本企業に謝罪と賠償を改めて要求:東京・丸の内での訴え

日本企業による強制動員の被害者遺族が、改めて謝罪と賠償を求める声が、東京・丸の内に響き渡った。2025年4月11日、日本製鉄と三菱重工本社前で行われた抗議集会には、被害者遺族や日韓の市民団体が参加し、企業の責任を問う痛切な訴えが展開された。

遺族の無念、75年の闘争と父の遺志

東京都千代田区の日本製鉄本社前で横断幕を広げる強制動員被害者の遺族、イ・チャンファンさん(右から4人目)東京都千代田区の日本製鉄本社前で横断幕を広げる強制動員被害者の遺族、イ・チャンファンさん(右から4人目)

今年1月に101歳で亡くなったイ・チュンシクさんの息子、イ・チャンファンさんは、日本製鉄本社前で声を詰まらせながら、父の無念を語った。1943年、岩手県の釜石製鉄所に強制連行され過酷な労働を強いられたチュンシクさんは、2005年に損害賠償請求訴訟を起こし、2018年に最高裁で勝訴判決を得た。しかし、日本製鉄は謝罪も賠償も拒否し続け、チュンシクさんはその言葉を聞くことなくこの世を去った。「75年を闘争しつつ待った」「過去の不幸な時代を整理し、新たな未来のために待ってきた」という父の願いは、今も叶えられていない。

市民団体による「丸の内行動」、18年にわたる訴え

東京都千代田区の三菱重工本社前で抗議する日帝強制動員市民の会のイ・グゴン理事長東京都千代田区の三菱重工本社前で抗議する日帝強制動員市民の会のイ・グゴン理事長

「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」「日本製鉄元徴用工裁判を支援する会」の3つの市民団体は、長年にわたり日本企業の責任を追及してきた。2007年から続く「金曜行動」は、今年から「丸の内共同行動」へと発展し、より多くの市民が声を上げている。「強制連行と強制労働に責任を取れ!」「被害者に謝罪し、補償せよ!」というスローガンが、丸の内に響き渡った。

韓国からも参加、日韓連帯の訴え

日本製鉄本社に向かう強制動員被害者の遺族イ・チャンファンさんと民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長日本製鉄本社に向かう強制動員被害者の遺族イ・チャンファンさんと民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長

韓国からも遺族や市民団体関係者が参加し、日韓連帯の姿勢を示した。日帝強制動員市民の会のイ・グゴン理事長は、「企業の責任は免責されないし、逃げることもできない」と強調。被害者と支援団体の立場を記した要請書を日本製鉄と三菱重工に提出したが、両社は受け取りを拒否した。

丸の内、日本経済の中心地で問われる企業責任

東京都千代田区にある日本製鉄本社東京都千代田区にある日本製鉄本社

多くの日本企業の本社が集中する丸の内。日本経済の中心地で、過去の過ちと向き合い、責任を果たすことが求められている。強制動員問題は、日本企業が謝罪と賠償を行わない限り解決しない。被害者たちの声に耳を傾け、真摯な対応が求められる。