米国海軍の近代化と増強が喫緊の課題となっている。中国の海軍力増強が顕著な中、覇権国としての地位を維持するため、米国はかつての造船大国としての地位を取り戻す必要に迫られている。しかし、冷戦終結後の造船業の衰退は深刻で、独自での迅速な海軍力増強は困難な状況だ。そこで、韓国の造船技術に熱い視線が注がれている。
冷戦時代と現代の米海軍:栄光と衰退
第二次世界大戦中、米国は驚異的な造船能力を発揮し、リバティー船をはじめとする大量の艦艇を建造、連合国の勝利に貢献した。しかし、冷戦終結後、造船業は衰退の一途を辿り、今では既存艦の維持にも苦労する状況だ。
リバティー船の建造の様子
中国の台頭と米国の焦燥
21世紀に入り、中国の経済成長を背景とした海軍力の増強は、米国の覇権に挑戦状を叩きつけたと言えるだろう。かつての英国のように、米国は海軍力増強という岐路に立たされている。しかし、現状の米国の造船能力では、必要な艦艇をタイムリーに確保することは不可能に近い。
中国海軍の空母
韓国造船業:救世主となるか?
同盟国の中で、米国が必要とする艦艇を迅速に供給できる能力を持つのは韓国と日本のみ。特に、価格競争力と技術力において韓国は優位に立っている。米国はすでに非戦闘艦の整備などを韓国に委託し、その実力を探っている。
米国国内生産のジレンマ
トランプ前大統領の「米国製造業復活」のスローガンにもかかわらず、米軍は外国製兵器導入の際に米国内生産を原則としている。戦闘機AV8や拳銃M9の例からも、この原則は揺るがない。韓国への艦艇建造発注においても、米国内での建造が条件となる可能性が高い。軍事評論家の佐藤一郎氏は、「米国の自尊心と安全保障上の懸念が、国内生産の原則を堅持させるだろう」と指摘する。
韓国の造船所
米中対立と韓国の役割
米中対立の激化は、韓国造船業にとって大きなチャンスとなる。中国海軍の増強に対抗するため、米国は韓国との協力を強化せざるを得ない状況にある。最終的にどのような形で協力が実現するかは未知数だが、韓国の造船技術が米海軍の近代化に重要な役割を果たすことは間違いないだろう。専門家の田中花子氏は、「韓国の造船業は、米中対立という地政学的リスクをチャンスに変える潜在力を持っている」と分析する。
今後の展望
韓国の造船業は、米国の期待に応えることができるのか。そして、米中対立の狭間で、韓国はどのような戦略を描くのか。今後の動向に注目が集まる。