ロシア ウクライナ大規模攻撃 ハルキウで3人死亡、前夜はキーウなど

ロシア軍は6日夜から7日朝にかけ、ウクライナ第2の都市ハルキウを攻撃し、イーホリ・テレホフ市長によると少なくとも3人が死亡、17人が負傷した。これは前夜の首都キーウなど複数の都市への大規模攻撃に続くもので、ウクライナ当局によると6日朝にかけては少なくとも6人が死亡、80人が負傷している。

ハルキウへの過去最大規模の攻撃

北東部ハルキウのテレホフ市長は、7日朝にかけての攻撃でドローン48機、ミサイル2発、滑空爆弾2発が使用され、市内の高層集合住宅3棟が破壊されたと述べた。これはハルキウへの攻撃としては過去最大規模の一つとされる。攻撃を受けた集合住宅からは炎が上がる様子が撮影された。

ウクライナ北東部ハルキウで、ロシア軍の攻撃により炎上する集合住宅ウクライナ北東部ハルキウで、ロシア軍の攻撃により炎上する集合住宅

ロシア側は、この一連の大規模攻撃は「キエフ政権によるテロ行為」への報復であり、軍事施設を標的にしたものだと説明していた。これに先立ちウクライナは1日、ドローン117機をロシア国内に送り込み、ロシア軍基地4カ所で長距離爆撃機などを攻撃したと発表していた。ロシアによる攻撃はこのウクライナの行動への反応と見られる。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は4日、ドナルド・トランプ米大統領との電話会談で、ロシアに対するウクライナの最近の攻撃に対応すると予告していた。

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、ウクライナでの戦争はロシアにとって「存亡に関わる問題」であり、「我が国の国益と安全保障の問題だ」と主張している。

前夜のキーウなどへの攻撃

ロシア軍は5日夜から6日朝にかけても、首都キーウ、北部チェルニヒウ、北西部のルツクとテルノピリに対し「大量」のミサイルとドローンによる攻撃を実施した。ウクライナの国家緊急事態サービス(DSNS)によると、この攻撃で巡航ミサイルやドローン数百機が使用され、6人が死亡、80人が負傷した。

ロシア国防省は、5日夜に「陸海空を拠点とする高精度・長距離兵器、および攻撃ドローンによる大規模攻撃を実施」したと発表。さらに6日には、キーウなど各地への攻撃に加え、ロシアの一部と占領下のクリミア半島上空でウクライナの無人機174機を撃墜したとも発表した。黒海上空では対艦巡航ミサイル「ネプチューン」を迎撃したとしている。

ウクライナのDSNSは、キーウで死亡した3人は全員同局の職員だったと発表した。ルツクでは2人が死亡し、別の1人の遺体は6日遅くにチェルニヒウの残骸から発見された。

ウクライナ当局によると、5日から6日の空襲には、ウクライナが1日に標的としたのと同じ種類の巡航ミサイル38発が含まれていたという。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は6日、ロシアが攻撃に400機以上のドローンを使ったと述べ、「ロシアにはこの攻撃の責任を負わせなくてはならない」と強調した。また、「我々は世界と共に、ウクライナが自衛できるよう多くの努力を払ってきた。しかし今こそ、アメリカや欧州、そして世界中がロシアに圧力をかけて、この戦争を共に止める時だ」と国際社会に協力を求めた。

さらに、「もし誰かが圧力をかけずに、この戦争が命を奪う時間を引き延ばすなら、それは共謀であり、責任を問われることだ。我々は断固とした行動をとらなければならない」と述べ、これはドナルド・トランプ米大統領がロシアに圧力をかけることに消極的な姿勢を示唆するものと見られている。

ドローンの羽音と爆発音

6日朝のキーウへの攻撃では、集合住宅が破壊され、線路損傷で地下鉄システムが混乱、空襲警報が発令された。数万人の市民が地下シェルターで不安な時間を過ごした。

郊外の防空システムが多数のドローンを迎撃しようとする中、街の中心部でも機関銃掃射の音が長時間続いた。頭上からはドローン独特の羽音も頻繁に聞こえた。明るい閃光が近くの建物に反射し、数秒後に雷鳴のような爆発音が続く状況だった。

一方、ロシア政府は、5月31日にロシア西部のブリャンスク州とクルスク州の鉄道で発生した3件の爆弾攻撃について、ウクライナによるものだと非難した。この鉄道攻撃では7人が死亡、100人以上が負傷したが、ウクライナはこれについてコメントしていない。

これらの攻撃は、ウクライナによるロシア国内の軍事施設へのドローン攻撃への報復と位置づけられており、両国間の緊張がさらに高まっていることを示している。ウクライナは国際社会に対し、ロシアへの圧力強化と自衛のための支援継続を強く訴えている。

(c) BBC News
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