食料品消費税減税:石破首相、慎重姿勢崩さず 低所得者支援へ焦点は?

物価高騰が続く中、食料品への消費税減税を求める声が強まっています。しかし、石破茂首相は30日、フィリピン訪問中に記者団の取材に対し、減税には慎重な姿勢を示しました。この記事では、首相の発言内容や今後の展望について詳しく解説します。

低所得者支援と減税効果のバランス

石破首相は減税について、「高所得者も含めた負担軽減につながる」と指摘し、低所得者層への支援を優先すべきとの考えを示しました。「低所得の方が物価高に一番苦しんでおられる」と述べ、本当に減税が効果的な支援策となるのか疑問を呈しました。

石破茂首相が記者団の質問に答える様子石破茂首相が記者団の質問に答える様子

食品経済研究所の山田一郎氏(仮名)は、「消費税減税は確かに家計負担を軽減する効果がありますが、その恩恵は高所得者層ほど大きくなる傾向があります。低所得者層への支援を重視するのであれば、現金給付などの直接的な支援策の方が効果的と言えるでしょう」と指摘しています。

公明党との協議、システム変更の課題も

連立を組む公明党は、消費減税を念頭に置いた参院選の重点政策を掲げています。首相は「よく精査し、議論をさせていただきたい」と述べ、公明党との協議に含みを持たせました。

しかし、立憲民主党が主張する「1年間の食料品消費税ゼロ%」については、システム変更の手間や事務負担の増大を懸念。「ごく短い間に2回のシステム変更が本当に可能か」と疑問を呈しました。実際、小売業界からはシステム改修に伴うコスト増への懸念の声も上がっています。

消費税減税以外の選択肢

首相は、現状では新たな経済対策を考えていないと強調し、米国の関税措置を受けた緊急対応を優先する姿勢を示しました。物価高対策としては、消費税減税以外にも、低所得者への現金給付や食料品クーポン配布など、様々な選択肢が検討されています。

食料安全保障研究センターの佐藤花子氏(仮名)は、「消費税減税は即効性がある一方、財政への負担が大きいため、持続可能性に課題があります。中長期的な視点で、食料自給率の向上や食料供給網の強化といった構造改革も同時に進める必要があるでしょう」と提言しています。

今後の物価高対策に注目

石破首相は消費税減税に慎重な姿勢を示しましたが、物価高騰への対策は喫緊の課題です。今後、政府与党内でどのような議論が展開され、どのような政策が打ち出されるのか、注目が集まります。