【ワシントン=住井亨介】トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾訴追調査で、在ウクライナ米大使館のホームズ参事官(政務担当)らが21日、下院情報特別委員会の公聴会で証言した。ホームズ氏はトランプ氏がソンドランド駐欧州連合(EU)大使への電話で、ウクライナ政府が政敵のバイデン前副大統領関連の調査に着手するかを大声で尋ねていたことを明らかにした。ウクライナ政府に対して調査着手を促すよう求める狙いがあったとみられる。
ホームズ氏は7月26日、ウクライナの首都キエフのレストランでソンドランド氏と同席。同氏は、直前に行ったウクライナのゼレンスキー大統領との会談についてトランプ氏に報告するため携帯電話をかけた。
「彼(ゼレンスキー氏)は調査をするのか」と尋ねるトランプ氏の大きな声が漏れ聞こえ、ソンドランド氏は「(彼は)あなたの頼んだことは何でもやる」と答えたという。
また、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)欧州ロシア上級部長だったフィオナ・ヒル氏も21日、証言に立った。
トランプ氏の顧問弁護士であるジュリアーニ元ニューヨーク市長と協力してバイデン氏関連の調査をウクライナ政府に働きかけるなど「裏外交」を展開していたソンドランド氏について、ヒル氏は「(外交ではなく)米国内の政治案件に関わっていた」と批判した。
21日で情報特別委で予定されていた一連の公聴会が終了。12人が証言したが、バイデン氏関連の調査の「見返り」とされる対ウクライナ軍事支援や米ウクライナ首脳会談をめぐり、トランプ氏の具体的な指示は明らかにならなかった。
今後は同委がまとめた報告書を基に、下院司法委が弾劾訴追の根拠などを記した訴追状にあたる弾劾訴追決議案の起草、審議を行う見込み。