兵庫県・ 斎藤元彦 知事(47)らの7項目にわたる疑惑を、西播磨県民局長の男性が告発し、その後死亡した問題。「週刊文春」取材班が、全取材メモと未公開の物証を紐解き、斎藤知事の“正体”に迫った連載『冷血の知事』より、第1回を特別に全文公開する。
【画像】キラキラPR会社社長から一変…刑事告発された後の折田楓氏を見る
昨年11月の兵庫県知事選を巡って、再選した斎藤知事とPR会社「merchu(メルチュ)」の折田楓社長(33)が公職選挙法違反(買収、被買収)の容疑で刑事告発された。事態が表面化して以降、雲隠れを続けてきた折田氏だが――。
(初出:「週刊文春」2025年2月27日号。年齢、肩書は当時のまま。)
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彼女は青にこだわっていた。残された記録には、それを、オリジナルの「さいとうブルー」と呼んだことが綴られている。今ではあまりに有名になった1枚のツーショット写真では、自らも鮮やかな青いセットアップで着飾っていた。
西宮市の神社を参拝
兵庫県西宮市、澄み切った青空が広がっていた2025年2月15日、土曜日の昼。少し早い春を思わせる穏やかな木漏れ日の下、彼女は境内をのんびりと歩いていた。
関西を代表する高級住宅街に佇む越木岩神社。子宝や安産、商売繁盛の御利益があるとされ、ご神体として周囲約40メートル・高さ10メートルの大怪石(花崗岩)である一大霊岩「甑(こしき)岩」を擁する。西宮育ちの彼女は、幼い頃から何度も地元のパワースポットを参拝してきたという。
ただ、この日、身を包んだファッションは、キラキラとした青とはかけ離れていた。ベージュのダウンコートに黒のパンツ、足元には黒のスニーカー。黒いバケットハットを目深に被り、黒縁眼鏡と白いマスクで顔は覆われ、表情をほとんど窺うことができない。
彼女が8日前に神戸地検と兵庫県警による強制捜査を受けた渦中の人物であることは、周囲にいる誰もが気付かない様子だ。
PR会社「merchu(メルチユ)」社長、折田楓(33)。そこにいたのは、あの日以来、行方をくらまし、口を閉ざし続けてきた女性だった。
彼女の人生を大きく狂わせたのは、斎藤元彦(47)。「冷血の知事」である。