ロサンゼルス・ドジャースの投手、佐々木朗希がIL(負傷者リスト)入りした。球団は、右肩の「インピンジメント症候群」を発症したと発表した。
佐々木のMLB挑戦が決まったときに、千葉ロッテマリーンズの吉井理人監督は「故障は多分、するとは思うんですけども」とラジオ番組で語っている。
佐々木の入団時からコーチ、監督として見守ってきた吉井監督にしてみれば、臍を噛むような思いだったのではないか。
有望な投手がNPBを経てMLBに挑戦するのは今や「既定路線」と言ってもいいが、佐々木の場合、過去の選手の移籍とは経緯がかなり異なっていた。
■佐々木朗希の移籍の問題点
佐々木の移籍をめぐる問題については、すでに「佐々木朗希のMLB移籍、大谷翔平との決定的な違い」で書いている。詳述は避けるが、端的に言えば、佐々木は周囲の懸念をよそに2年以上も早くMLBに移籍したのだ。
佐々木はポスティングシステムで移籍をしたが、このシステムでMLB球団とメジャー契約ができるのは「25歳以上、キャリア6年以上」となっている。しかし佐々木は「23歳、キャリア4年」で移籍した。入札を経てドジャースと契約したが、当然ながらマイナー契約だった。
メジャー契約であれば大型契約ができる。前年、オリックスから移籍した山本由伸は12年総額3億2500万ドル(約465億円)という巨費でドジャースとメジャー契約をした。ポスティングで移籍した場合、元居たチームには契約金に応じて譲渡金が支払われる。山本の場合、オリックスには5062万5000ドル(約72億円)、オリックス全選手の年俸総額の2倍以上の譲渡金が支払われた。
しかし佐々木はマイナー契約だったために、契約金は650万ドル(約10億1400万円)。ロッテへの譲渡金は2.5億円だとされた。
ポスティングシステムは、在籍する球団の承認が得られなければ行使することができない。なぜロッテは、こんなに早い移籍を許したのか?
■ロッテ在籍中に規定投球回数に達した年は皆無
佐々木には、広告代理店を介した代理人がついていたと報道されている。山本由伸と同じ代理人だとされるが、この人物が佐々木のロッテ入団交渉に関与したのではないか、と言われている。球団側も佐々木側もこれを否定しているが、ロッテにとってあまりにも不利なこの移籍に不可解な点は多い。