埼玉県川越市でクワガタ・カブトムシの専門店「クワカブの部屋」を経営している三森大輔さん(32)。年間5000匹以上を繁殖・販売し、年商約2500万円を稼ぎ出す異色のブリーダーだ。
かつてはお笑いコンビ「スタンダップコーギー」として活動していた元芸人としても知られている。
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「アメトーーク!」などの人気番組にも出演していた彼が、2023年に“昆虫ブリーダー”に完全転身した背景には、子ども時代から続く昆虫への熱い情熱があった。
芸人から昆虫ブリーダーに転身
三森さんがクワガタを飼育し、ブリーダーとして生体の委託販売をスタートしたのは20歳のころ。芸人として精力的に活動する合間に、趣味程度に行っていたという。
2019年にYouTubeチャンネル「クワカブの部屋」を開設して飼育方法や繁殖のコツを紹介し始めたことで、昆虫マニアや昆虫好きの子供たちからの注目を集めるようになった。
芸人を辞めてから2024年にオープンした実店舗の「クワカブの部屋」では、国内外のクワガタ・カブトムシの展示をメインに生体の販売も行っている。また、実際にクワガタ・カブトムシとふれあえる体験スペースも設け、8月の繁忙期には1日平均200人が集まってくる。
2年目ながら、順調に売上を伸ばしているというから驚きだ。
「僕と同じムシキング世代のほか、小学生の友達同士、親子連れなど、幅広いお客さんがいらっしゃいます。
中にはインバウンド客もいて、翻訳アプリを使ってコミュニケーションを取りながら、虫談議に花が咲くことも。お客様との交流が楽しくて、毎日が充実していますし、クワカブの魅力をもっと伝えるにはどうしたらいいだろうと、日々試行錯誤しています」
芸人時代とは一変。クワカブ中心の生活
芸人時代は、ライブやバイトの合間にクワカブの世話をする生活だった三森さん。今では、「芸人の部分」がまるごとクワカブ時間に変わり、生活は一変した。
「苦労の種類が違うので比較しにくいのですが、『それを好きでやっているかどうか』という視点で考えると、芸人時代の方が大変だったと思います。芸人時代は、バイトで生活費を稼いでライブに出て、中にはエントリー料を払うものもあったりして。ウケたらいいんですが、滑った日にはメンタルがやられて、また翌日バイトに行くの繰り返しでした(苦笑)。
今は、お昼過ぎから活動し出して、YouTubeの撮影や飼育をして、気づけば翌朝の6時を過ぎていることもあります。まわりから体調を心配されたりもしますが、結局はクワカブが好きで、やりたくてやっているだけなので、大変とか苦労してるとかは思わないんです」