長嶋茂雄さん死去、カール・ルイス氏が追悼 「謙虚なスーパースター」

野球界の象徴、「ミスター」長嶋茂雄さんの訃報を受け、世界中の人々に悲しみをもたらしました。陸上界の世界的スーパースター、カール・ルイス氏もまた、長年の友人である長嶋さんを悼んでいます。日本で特に印象的な1991年世界陸上での「ヘイ、カール!」の呼びかけについて、ルイス氏は当時を振り返り「すぐに長嶋さんだと分かった」と語りました。彼が語る長嶋さんとの交流、そして稀代のスーパースターから学んだこととは。(ANNロサンゼルス支局長 力石大輔)

バブル期、スーパースターの共演:長嶋茂雄とカール・ルイス

長嶋茂雄氏と陸上界の至宝、カール・ルイス氏(63歳)の出会いは、1984年のロサンゼルス五輪でした。当時、巨人軍監督を退任していた長嶋氏は、スポーツ親善活動や五輪リポーターとして国際的に活動。ルイス氏は同大会で陸上4冠を達成し、世界的スーパースターとなりました。長嶋氏はその誕生を間近で見ていました。その後、両氏は日本のバブル期に多くのテレビ番組やイベントで共演し、注目を集めました。ルイス氏は現在、母校ヒューストン大学で陸上チームのヘッドコーチを務めています。

長嶋茂雄氏を追悼し、思い出を語るカール・ルイス氏(インタビューより)長嶋茂雄氏を追悼し、思い出を語るカール・ルイス氏(インタビューより)

カール・ルイス氏が語る「長嶋茂雄というスーパースター」

カール・ルイス氏は、長嶋茂雄氏との40年以上にわたる友情について語りました。友人を通じての出会い以来、「日本に行くたびに長嶋さんと時間を過ごした。本当に優しく、素晴らしい方で、亡くなってとても悲しい」と故人を偲びました。

スーパースターから学んだ「たたずまい」

同じ世界の舞台で活躍した経験から、ルイス氏は長嶋氏から多くのことを学んだと強調します。「長嶋さんがなぜあれほど尊敬され、確固たる地位を築けたのか。その実際の振る舞いを真似ようとした」。ルイス氏は、長嶋氏から「スーパースターとしてのたたずまい」を“盗んだ”のだと述べ、「偉大な人から学ぶことは、恥ではなく誇りだ」と語りました。

謙虚さと一貫性:長嶋氏の真髄

最も記憶に残っているのは、長嶋氏の「一貫性」だといいます。「非常に有名なのに、常に謙虚な心を持ち続けていた」。そして「いつも愛と、ポジティブなエネルギーを感じた。この二つの一貫性が、『長嶋さんが長嶋さんであるゆえん』だった。彼の謙虚さに心を打たれた。真に素晴らしい紳士だった」。

カール・ルイス氏の言葉は、長嶋茂雄氏が単なる野球界の偉人を超え、その人間的な魅力と謙虚さで多くの人々に影響を与えた普遍的な存在であったことを示しています。国境を越え、異分野のスーパースターをも惹きつけた長嶋氏の温かい人柄は、今後も人々の記憶に深く刻み込まれるでしょう。

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