世界41カ国を対象にした米調査会社モーニング・コンサルトの最新の好感度調査で、中国に対する肯定的な見方が調査開始以来初めて米国を上回ったことが明らかになった。2025年1月のトランプ氏の米大統領再就任以降、この傾向が顕著になり、中国の好感度が上昇する一方で米国の好感度は悪化が続いている。米ニュースサイト「アクシオス」は、米国の貿易政策がこの逆転現象の一因となっている可能性を指摘し、「米国の貿易政策が中国を再び偉大に」と皮肉を交えて報じた。
調査の概要と方法
この調査は、カナダ、フランス、英国、日本、ロシアを含む世界41カ国の成人を対象に実施された。モーニング・コンサルト社は、各国における中国および米国に対する「肯定的な見方をする人の割合から否定的な見方をする人の割合を差し引いた値」をポイントとして示している。この方式により、特定の国の好感度が数値化され、時系列での比較や国家間の比較が可能となる。
好感度逆転の経緯
報道によると、2024年1月から2025年5月末までの期間、対象国合計で日常的に約4900人から意見を収集する形で調査が続けられた。2024年1月からの1年間は、米国の好感度がプラス15〜20ポイント前後、中国がマイナス5〜0ポイント前後で推移しており、米国が明確に優位にあった。
しかし、2025年1月にトランプ氏が米大統領に再度就任して以降、両国の好感度の差が急速に縮小。同年3月には中国の好感度が米国を逆転するに至った。5月末時点のデータでは、中国がプラス8.8ポイントであるのに対し、米国はマイナス1.5ポイントとなっており、中国の優位が継続している状況が示されている。
関税政策と「ソフトパワー」への影響
特に注目されるのは、トランプ米政権が巨額の貿易赤字を抱える約60カ国・地域に対し、最大50%の「相互関税」を課すと発表した4月2日の「米国の解放記念日」(トランプ氏が命名)以降の動向だ。この発表を受けて、中国の好感度が急激に上昇したという。一方、米国の好感度は、一時的な改善は見られたものの、4月以降おおむねマイナス圏で推移している。
モーニング・コンサルトでこの調査を担当したジェイソン・マクマン氏は、この結果について「米国の『ソフトパワー』への明らかな打撃だ」と指摘している。さらに、「この傾向が続けば、中国に本来よりも強い力を与えるリスクがある」との分析を示し、米国の外交政策や貿易政策が国際的な評価に与える影響の大きさを強調した。
中国・北京で伝統的な清時代の衣装をまとった若者女性が自撮りをする様子。現代文化と歴史的要素の融合を示す。
中国・北京で伝統的な清時代の衣装をまとった若者女性が自撮りをする様子。現代文化と歴史的要素の融合を示す。
中国国内の反応
この調査結果は、中国国内でも報じられている。中国国営の通信社である中国新聞社などがこの調査結果を報道した。中国の交流サイト(SNS)である微博(ウェイボー)では、「中国は今後も国際秩序の擁護者であり続け、各国と協力してより良い未来を築いていく」といった、調査結果を歓迎し、中国の国際的な役割を強調する肯定的なコメントが多く見られた。一方で、この調査自体の信ぴょう性や、調査方法に対する疑問を投げかける投稿も一部に見られた。
結論
今回のモーニング・コンサルトの調査結果は、世界の主要国における米国と中国への好感度が、特にトランプ氏の米大統領再就任とその後の貿易政策発表を機に、歴史的な転換点を迎えている可能性を示唆している。中国の好感度が米国を上回った背景には、米国の保護主義的な政策に対する国際社会の懸念や反発が影響しているとみられる。この傾向が国際関係や各国の外交政策にどのような影響を与えていくか、今後の動向が注目される。
参照元
https://news.yahoo.co.jp/articles/fdfb982340b601785509b488c37d88841e089fb4