25年以上にわたり多くの読者に選ばれてきた大学案内『大学図鑑！』。現役生・OB・OGら5000人超のナマの声によって作られる本書は、大学選びの有力な手段として支持されています。最新版『大学図鑑！2026』の出版を記念し、本記事ではその内容の一部を抜粋、再編集してお届けします。関西の私立大学におけるこの10年間の序列の変化と、各大学の現状に迫ります。
関関同立の序列は安定傾向
関東の私立大学と比較すると、関西の私立大学、特に「関関同立」（関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学）の序列はこの10年間で大きな変化は見られません。基本的には同志社大学が関西私大のトップとしての地位を確立しており、関西学院大学と立命館大学が2番手争いを展開しています。その少し下に、関西大学が位置するという構図が続いています。このトップグループ内の順位変動は比較的少ないのが特徴です。
関関同立と産近甲龍の差は縮小傾向に
一方で、「関関同立」と「産近甲龍」（京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学）の間の差は、少しずつですが縮まってきている印象です。10年前に発刊された『大学図鑑！2017』では、この2つのグループ間には明確な開きがありましたが、『大学図鑑！2026』ではその差が徐々に縮まっているという記述が追加されています。これは、特に産近甲龍グループの躍進によるところが大きいと言えます。
産近甲龍内部の激変：近畿大学の大躍進
実際、関関同立とは対照的に、産近甲龍ではこの10年間で大きな変化が起こりました。10年前までは、可もなく不可もなくといった立ち位置で産近甲龍の中で下位に位置していた近畿大学が、このグループ内で一気に先頭に躍り出ました。さらに、学部によっては関関同立に迫る勢いを見せています。
近畿大学は積極的な広報戦略が功を奏し、志願者数を10年で2倍以上に増やすなど、目覚ましい発展を遂げています。今や産甲龍という括りを超え、比較にならないほどの知名度を築き、入試偏差値も上昇傾向にあります。これは、緻密な戦略と実行力がもたらした結果と言えるでしょう。
関西の私立大学、関関同立と産近甲龍の10年間での序列変化を示す図
変わらない各大学の「雰囲気」
このように変化の起きている関西の私立大学序列ですが、変わらないものもあります。それは、各大学が持つ独自の雰囲気です。近年の関東の私大の雰囲気はかなり似通ってきており、学生と少し話しただけでは、どこの大学の学生か判別することが難しいケースが増えています。しかし、関西では学生を見ただけで、どこの大学の学生かまだわかることが多いのです。「なんとなく同志社っぽい」「見るからに関大っぽい」など、それぞれの大学が持つ個性がしっかりと残っている点は、関西ならではの良いところと言えるでしょう。
まとめ
この10年間で、関西の私立大学の序列、特に産近甲龍グループ内では大きな変化が見られました。近畿大学の躍進は目覚ましく、関関同立との差も縮小傾向にあります。一方で、各大学の持つ独自のカラーや雰囲気は健在であり、学生の個性にもそれが表れている点は変わりません。大学選びにおいては、偏差値や序列だけでなく、こうした「雰囲気」も重要な要素となり得ます。
参考文献
- 『大学図鑑！2026』（2025年1月執筆）
- 『大学図鑑！2017』（2016年1月執筆）
