「せいろ蒸し」がブーム到来!時短・ヘルシー・簡単で人気沸騰の理由

健康志向の高まりと日々の食卓での手軽さが求められる中、日本の家庭で今、「せいろ蒸し」が大きな注目を集めています。この伝統的な調理法が、「時短・ヘルシー・簡単」という現代のニーズに見事に合致し、新たなブームを巻き起こしています。レシピ動画メディアでの検索数が急増し、せいろ蒸しに特化したレシピ本が出版されるなど、その広がりは目覚ましいものがあります。特に、加熱中に手が離せる「ほったらかし調理」が可能であることや、旬の野菜を美味しく消費できる点から、暑い夏にも適した調理法として期待されています。キャベツやレタスなどの豊作傾向にある野菜の消費拡大策としても注目されています。

手軽さが人気の秘密:検索数5倍の衝撃

レシピ動画メディア「デリッシュキッチン」を運営するエブリーによると、せいろを使ったレシピの検索数は2024年9月頃から顕著に増加し始めました。2024年9月と比較すると、今年5月には約5倍に達しているといいます。デリッシュキッチンは、この人気の理由を「時短・ヘルシー・簡単という三拍子揃っていることに加え、料理初心者でも手軽に挑戦でき、さらに見た目も華やかに仕上がる」点にあると分析しています。これまで中華料理のイメージが強かったせいろですが、実際には幅広いジャンルのメニューに活用できる汎用性を持っています。デリッシュキッチンで特に人気を集めているのは、「豚バラキャベツのミルフィーユせいろ蒸し」です。豚バラ肉とキャベツを交互に重ねるだけで簡単に準備でき、担当者は「蒸すことで余分な水分が出にくく、野菜本来の甘みや美味しさが引き立つ」とその魅力を語っています。

デリッシュキッチン提供:人気の豚バラとキャベツのミルフィーユせいろ蒸しデリッシュキッチン提供:人気の豚バラとキャベツのミルフィーユせいろ蒸し

SNSが火付け役:レシピ本の異例ヒット

現在の「せいろ蒸しブーム」に火をつけた一人として、インスタグラムでせいろの魅力や簡単なレシピを発信しているりよ子さんの存在が挙げられます。2023年4月から情報発信を開始すると、その手軽で美味しいレシピが大きな反響を呼び、わずか1年半でフォロワー数は10万人を突破しました。昨年9月には、彼女のレシピを集めた特化型レシピ本「すべてを蒸したい せいろレシピ」(Gakken刊)が出版されました。この本は、2024年6月1日時点で発行部数が22万部を超える異例のヒットを記録しています。出版元のGakkenは、「レシピ本としては稀に見る売れ行きで、読者層も10代から80代までと非常に幅広いのが特徴」とコメントしており、せいろ蒸しが世代を超えて受け入れられていることが伺えます。

Gakken提供:SNSで話題、りよ子さんの人気レシピ本『すべてを蒸したい せいろレシピ』Gakken提供:SNSで話題、りよ子さんの人気レシピ本『すべてを蒸したい せいろレシピ』

野菜をたっぷり、健康的に:夏にも最適

りよ子さんは、せいろ蒸しの最大の魅力について「野菜を一度にたっぷり摂取でき、手軽に健康的な食事を実現できる点」だと語っています。様々な野菜と相性が良い中で、特に葉物野菜ではレタスを推奨しています。「丸ごとせいろに入れて蒸すことで、かさが大幅に減り、普段よりも多くの量を無理なく食べられる」とそのメリットを説明しています。蒸し料理は暑い時期には避けられがちですが、せいろ蒸しは夏野菜との相性も抜群です。火元につきっきりになる必要がない「ほったらかし調理」ができる点も、暑い季節には向いています。りよ子さんは「季節野菜の蒸し浸し」を特に勧め、「野菜をまとめて蒸しておけば、食欲が落ちやすい夏でもさっぱりと食べられる」と提案しており、年間を通して活用できる調理法であることを強調しています。(菅原裕美 記者)

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