7月20日投開票が有力視される次期参議院選挙に、国民民主党から比例代表で立候補することを表明した山尾(本名・菅野)志桜里・元衆院議員(50)が、6月10日に国会内で記者会見を実施した。会見では、過去に週刊誌などで大きく報じられた不倫疑惑や政治資金問題などについて釈明を行った。
しかし、この会見に対してインターネット上などでは、「形だけの会見だ」「国民民主党にはもう投票しない」といった批判的な意見が相次ぎ、「結果的に逆効果だった」(政界関係者)との厳しい見方が広がっている。本記事では、会見でどのようなやり取りが行われたのか、その要点をまとめる。
国民民主党の玉木雄一郎代表の指示を受け、急遽6月10日午後3時半過ぎから国会内で始まった山尾氏の記者会見には、各メディアやフリーランスの記者ら約80人が集まった。また、会見の模様はインターネットでも生中継され、多くの注目を集めた。
会見はまず、山尾氏による30分足らずの冒頭発言から始まった。山尾氏は、いわゆる「不倫疑惑」「ガソリン疑惑」と呼ばれる政治資金問題、そして議員パスの不正使用疑惑など、過去に自身に向けられた主な疑惑について釈明した上で、今回の参院選出馬に至った経緯や、自身が訴えたい政策について、メモを見ずに淡々と語った。
過去の主要疑惑に対する釈明
会見の主要な焦点は、山尾氏が過去に直面した一連の疑惑に対する弁明だった。
「不倫疑惑」に関する説明
2017年に既婚男性との不倫関係が一部週刊誌で大々的に報じられた件について、山尾氏は冒頭発言で「8年前の自分を振り返り、自分の行動・対応が極めて未熟だったと反省している」と述べ、頭を下げて謝罪の意を示した。一方で、当時「不倫関係」と報じられた男性との現在の関係については、「現在は仕事・私生活で特段の交流はない」と述べるにとどまり、過去の関係性については曖昧な説明に終始した。
「ガソリン疑惑」への言及
メディアから「ガソリーヌ」と揶揄されるきっかけとなった「ガソリン代の不正受給」問題についても言及した。山尾氏は、不正受給自体に対する自身の責任は認めたものの、「当時の秘書がやったことで、まったく知らなかった」と述べ、不正行為は秘書が行ったもので自身は関知していなかったと説明した。また、不正に受給されたとされる166万円については、「その秘書が全額返却したので、(自身の政治資金収支報告書に)雑収入として記載・処理した」と説明した。
参院選出馬記者会見で釈明する山尾志桜里氏
議員パス不正使用について
議員パスの不正使用についても、私的な用事で議員パスを利用した移動や、議員バッジを私的な場面で活用したことを認め、「本当に情けない」と述べて頭を下げて謝罪した。一連の謝罪の中で、山尾氏は「8年前は未熟でおごりがあった」と述べ、自己の過去の行動に対する反省の弁を述べた。
記者からの質疑応答と広がる波紋
冒頭発言での一連の釈明を受けて始まった質疑応答では、最初の質問者から早速、「私生活の件」として不倫疑惑の真偽について問い質された。記者は、「当時、山尾さんは公式には『相手方の男性と男女の関係はなかった』と発表し、質疑に応じずにその場を去っていったという経緯がある」と過去の対応を指摘し、改めて当該男性との「男女関係の有無」について明確な説明を求めた。
しかし、山尾氏の釈明は、国民やメディアの間で完全に受け入れられたわけではない。特に過去の疑惑に対する説明の具体性や誠実さに対して疑問の声が多く上がっている。SNSやネットニュースのコメント欄には、「釈明になっていない」「選挙目的のパフォーマンスではないか」といった書き込みが目立ち、政界関係者の間でも「逆効果」との見方が広がるなど、今回の会見が参院選に向けた山尾氏のイメージ回復に繋がるかは不透明な状況となっている。
まとめ
国民民主党から参院選比例代表での立候補を表明した山尾志桜里元衆院議員は、過去の不倫疑惑や政治資金問題を払拭するため記者会見を開いた。会見で山尾氏は一連の疑惑について釈明や謝罪を行ったものの、特に不倫疑惑に関する説明は曖昧さを残し、政治資金問題についても秘書に責任があるとの主張を繰り返した。会見後、インターネット上などでは批判的な意見が多く見られ、今回の釈明が今後の選挙戦にどのような影響を与えるか注目される。