韓国・釜山にある日本総領事館前での平日集会を禁止した警察の判断について、その適法性が争われた訴訟で、釜山高裁は集会禁止は適法であるとの判決を下しました。保守系市民団体「慰安婦法廃止国民行動」の関係者が、釜山東部警察署を相手取って起こした「屋外集会禁止通告処分取り消し訴訟」の控訴審で、裁判所は9日、原告の控訴を棄却しました。
集会禁止と訴訟の経緯
訴訟を起こした団体関係者は、2024年5月29日に釜山の日本総領事館から10メートル以内の場所で、旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する「平和の少女像」の撤去を訴える集会を計画し、管轄の東部警察署に届け出ました。これに対し警察は、外交公館から100メートル以内の集会を禁止する関連法に基づき、平日の集会については「外交公館の平穏や機能を害する恐れがある」として、禁止を通告しました。
釜山の日本総領事館前に設置された平和の少女像、集会禁止訴訟の舞台
この団体関係者は過去に「撤去」と書かれたビニール袋を少女像に被せるなどの行動を取っており、これが複数回報道されたことから、集会によって賛否両派の衝突リスクが高まることが懸念されていました。
一方で、警察はこの団体が2024年の週末に同様の集会を申請した際には、禁止や制限の通告は行っていません。
原告の主張と裁判所の判断
原告の団体関係者は、平日の集会であっても総領事館の機能や平穏に対する侵害はないと主張し、警察の通告は違法であるとして提訴に踏み切りました。
しかし、一審の釜山地裁は訴えを却下。そして今回の控訴審でも、釜山高裁は警察の判断を支持し、原告の控訴を棄却する判決を言い渡しました。
控訴審の判決は、「この集会は、反対する団体との対立が激化したり物理的衝突に発展する可能性がある」と指摘。その結果、「日本総領事館の機能や平穏を損なう恐れが認められる」との判断を示しました。さらに、原告は総領事館の業務時間外である休務日に同様の内容で集会を開催することが可能である点を挙げ、「警察が裁量権を逸脱または乱用し、集会の自由を過度に制限したとは言えない」として、警察の集会禁止通告は適法であると結論付けました。
まとめ
釜山日本総領事館前での「平和の少女像」に関する平日集会を巡る訴訟は、韓国高裁が集会禁止を適法とする判決を下し、原告の控訴を棄却する形で決着しました。裁判所は、集会による衝突の可能性や総領事館への影響、そして休日に集会を開催できる代替手段があることから、警察の判断に違法性はないと認めました。
参考資料:
Source link (KOREA WAVE/AFPBB News)