ボーイング787、運航開始14年で初の墜落事故 インドで発生、日本の製造関与は?国交省の対応

夏休みを前に、空の旅の安全に対する不安が高まる中、インドで発生した旅客機墜落事故の詳細が明らかになってきました。今回の事故は、日本の製造技術も深く関わる最新鋭機、ボーイング787型機にとって、運航開始以来初めての墜落事故となりました。

インドの首都デリーと東京の羽田空港を結ぶエア・インディア便は、これまで週4便の運航でしたが、事故前日の15日から毎日1便に増便されたばかりでした。事故を起こした機体は、増便後の運航に使用されているものと同型のボーイング787です。事故は離陸直後に発生しました。

インドメディアの報道によると、エア・インディア171便は離陸後、高度650フィート、およそ200メートル以上上昇することができませんでした。機長は管制塔に対し、「推力が達成できなかった。墜落する。メーデーだ!」と緊急事態を知らせる交信を行っていたことが判明しています。この通信記録は、事故の瞬間の深刻な状況を示唆しています。

「ドリームライナー」の愛称で親しまれるボーイング787は、最新鋭の機能が備わった中型ジェット旅客機として、世界中で幅広く利用されています。運航開始からこれまでの14年間で、全世界での利用者は約10億人に上ると言われています。日本国内でも、国際線・国内線を合わせて一日に200から300のフライトで使用されており、日本の空のインフラに欠かせない存在となっています。今回の事故は、この安全性に定評のある機体にとって、運航開始以来初めての墜落事故という極めて異例の事態です。

インドで墜落事故を起こしたボーイング787型機(資料画像)インドで墜落事故を起こしたボーイング787型機(資料画像)

ボーイング787の製造には、日本企業が深く関わっています。東京大学名誉教授の鈴木真二氏によると、機体の主要部分である大きな主翼のすべてが日本で製造されているほか、機体全体の約35%を日本が製造に関与しているとのことです。このため、今回の事故原因が製造に関わる問題である可能性も注目されています。

しかし、鈴木氏は、事故機が比較的初期に製造された機体であり、長年にわたり安全に運航されていた点を指摘し、「設計とか製造の問題ということはちょっと考えにくい」との見解を示しています。事故原因については、機体の技術的な問題、整備状況、運用上の問題など、多角的な調査が待たれます。

今回の事態を受け、日本の国土交通省は、国内でボーイング787型機を運航する航空会社3社に対し、機体およびエンジンの点検を確実に実施するよう緊急指示を出しました。これは、日本の航空安全を確保するための措置であり、国内外の関連情報を収集しつつ、今後の対応を検討していく方針です。この事故が、今後のボーイング787の運航や製造体制にどのような影響を与えるのか、注目が集まります。

(出典: テレビ朝日)