日韓関係、国交正常化60周年に向けた船出:新大統領と石破首相の課題

韓国でこのほど大統領選挙の結果が確定し、李在明新大統領が誕生した。これを受け、日本の石破茂首相は就任翌日の早い時間に、慣れないハングルでのSNS投稿を通じて心からの祝意を伝えた。石破首相は「日韓関係の安定的な前進」に期待を示しており、両首脳はまだ直接対面はしていないものの、ガラス細工に触れるような慎重さを見せている。特に、今年で迎える「日韓国交正常化60周年」が両国の関係における重要な話題となっている。李大統領と石破首相は初の電話会談でもこの節目に言及し、「未来志向的な関係構築」への意欲を示した。

1965年体制という課題

しかし、日韓国交正常化の歴史には、未解決の課題も存在する。1965年6月22日に国交樹立の基盤となった日韓基本条約と請求権協定は、日帝強占期の不法な植民地支配とそこから生じた被害問題に対し、十分な解決をもたらさなかった。請求権協定では、日本からの無償3億ドル、有償2億ドルの経済援助と引き換えに、請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決された」とされた。この条項こそが、その後の両国間に続く歴史問題の根本原因、「1965年体制」の核心となっている。

未解決の過去問題への向き合い方

一度こぼれてしまった水を丁寧に拭き取り、再びコップを満たすかのように、両国の関係を再構築することも重要だ。未解決の問題を賢明に解決することが、将来へ向かう強固な道のりを切り開くという期待もある。李大統領の就任初期に、1965年の基本条約と協定に関する日韓共同声明を発表し、「1965年体制」を日韓関係が進めない一因と認め、解決への意欲を示すことが、複雑な糸を解きほぐす第一歩になりうるとの意見がある。

金大中・小渕時代の成功から学ぶ

日韓友好における大きな道しるべを築いた金大中大統領と小渕恵三首相の時代を教訓とすべきだという議論にも関心が集まっている。金大中大統領は、「慰安婦」問題、独島問題、日韓漁業協定改定など、日韓関係の悪材料が相次ぐ中で就任した。加えて、韓国国内では1997年の外国為替危機(IMF危機)で経済が深刻な状況に陥り、日本の支援が切実に求められていた時期であった。こうした困難な状況下で、金大統領は1998年に小渕首相と共に「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」を発表した。このパートナーシップでは、日米同盟強化による朝鮮半島平和の実現、日韓安全保障協力の推進、北朝鮮政策における認識共有、そして首脳間交流の定例化などが約束された。日本政府の承認のもと、日本の金融資本がかなりの額で韓国に流入し、韓国の外国為替危機克服を支援したことは特筆すべき点である。
また、このパートナーシップ締結後の2002年には、日本では韓国ドラマ「冬のソナタ」が大ブームを巻き起こし、その後の広範な韓流ブームへと繋がるなど、文化交流面での波及効果も絶大だった。この成功体験は、困難な状況でも関係を発展させられる可能性を示唆している。

専門家が提言する関係管理の重要性

峨山政策研究院のチェ・ウンミ研究委員は、「過去の問題に代表される難題が、日韓関係全般を支配する枠組みにならないよう、政府レベルでの持続的な関心と管理が必要だ」と提言している。この提言は傾聴に値するものであり、日韓関係を進展させるためには、歴史問題のようなセンシティブな課題が関係全体を覆い尽くさないよう、両国政府が継続的に注意深く管理していくことの重要性を示している。

日韓国交正常化60周年という節目を迎えるにあたり、李在明大統領と石破茂首相には、1965年体制に起因する歴史の課題にどう向き合うかという重い宿題が課されている。しかし、過去の金大中・小渕時代が示したように、困難な状況下でも未来志向の関係を築くことは不可能ではない。両国政府が歴史問題を適切に管理しつつ、新たな協力関係を模索できるかどうかが、これからの日韓関係の行方を左右する鍵となるだろう。

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