中国海軍が空母3隻体制の戦力化を目前にし、その活動を活発化させている。特に最近、「遼寧」が初の第2列島線突破、「山東」が第1列島線通過と西太平洋へ進出した動きは、その兆候として注目される。
中国海軍の空母「遼寧」と「山東」が並んで航行。中国の2隻の空母による海上訓練の様子を示す写真。
中国空母の「列島線」突破と戦略的動向
冷戦時代に米国が中国の太平洋進出を阻むために設定した概念である「列島線」に対し、中国空母の突破活動が続いている。今月、「遼寧」が米軍基地のあるグアムを迂回しつつ、史上初めて第2列島線を突破したことは注目される。これは2016年の第1列島線突破から9年ぶりの動きだ。また、「山東」も第1列島線を通過し、日本の沖ノ鳥島や硫黄島付近の西太平洋海域に進出した。日本統合幕僚監部も「遼寧」の南鳥島付近での航行と艦載機の発着を確認している。2隻の空母が同時に西太平洋で訓練を実施したのは初めてであり、台湾有事の際にグアム米軍基地への圧力となりうることが示唆されている。台湾の聯合報は、この動きが米軍に新たな「恐怖」を与えたと報じた。
最新鋭「福建」の能力と3隻体制の意義
中国海軍の戦力強化を支える最新鋭空母「福建」は、電磁式カタパルト(EMALS)や早期警戒機の搭載能力により、艦載機の作戦能力を大きく向上させている。先月には西海の韓中暫定措置水域で海上訓練を実施した。中国軍事専門家は、空母3隻体制により修理、待機、海上配備のローテーションが可能となり、次世代ステルス戦闘機J-35との組み合わせで強力な海上防御作戦体系を構築できると分析。海軍報道官も、訓練目的が遠洋防御能力の点検だったと説明しており、中国の海軍力増強は予想以上の速度で進んでいるとの評価が出ている。
これら一連の活動は、中国の空母3隻体制が戦力化へ近づき、西太平洋での影響力を拡大しようとする明確な意図を示している。今後の地域安全保障、特に日本周辺の環境への影響が注目される。