元内閣官房参与で京大大学院教授の藤井聡氏(56)が、21日放送のABCテレビ「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」に出演し、自民党の経済政策、特に現金給付やコメ価格高騰対策について厳しい見解を示しました。参院選を前に、世論調査では自民党の支持率が上昇傾向にある中、藤井氏はこれらの政策の経済効果について疑問を呈し、消費税減税こそより有効な手段であると強調しました。
番組では、コメ価格高騰を巡る小泉進次郎農相の取り組みが自民党の支持率上昇に寄与している可能性や、「次の首相」に関する世論調査で小泉氏がトップになったことが取り上げられました。元日本テレビ政治部記者で政治ジャーナリストの青山和弘氏(57)は、自民党の支持率上昇は「小泉劇場しかない」とし、その人気は間違いないとしながらも、「ふわっとした国民の人気は移ろいやすい」と、その支持がいつ落ちるか分からない危うさも指摘しました。
コメ2000円は効果薄、消費税減税と桁違いの差
藤井氏は、連日メディアで取り上げられる「2000円米」(備蓄米放出)について言及し、選挙まで1ヶ月ある中で、国民も冷静な判断をする時期が来ると述べました。同氏は、「2000円米が可処分所得をどれだけ上げるかというと、たった1人あたり400円相当しかない」とその効果の小ささを指摘しました。
これに対し、消費税減税の効果は比較にならないほど大きいと主張。「食料品にだけ消費税減税をやるだけでも、4、5万円違ってくる」「5%にしたら、年10万円違ってくる」と具体的な数字を挙げました。さらに、コメの場合は1回限りだが、消費税減税を3年、4年と続ければ、年10万円が30万円、40万円になり、5人家族であれば150万円、200万円にもなる可能性があると述べ、コメの話と消費税の話では経済効果の「オーダーが2ケタ、3ケタぐらい違う」と断言しました。そして、「一体、何をやるべきなのかというのを考えていただきたい」と国民に冷静な判断を促しました。
2万円給付金の「デマ」を批判
また、自民党が進める2万円の給付金政策についても、「結局2、3兆円、1人あたり2万円というだけではないか」と述べ、その効果の限界を示唆しました。藤井氏は、「消費税の方が2倍、5倍とかの効果がある」とし、給付金の方が効果があるとする石破茂首相(当時は岸田政権の重要閣僚だが、記事内容から文脈上「石破さんの言説」として言及)の言説に対して、「完全なデマです。だまされないでいただきたい!」と強く訴えました。
日本の経済政策について見解を述べる石破茂首相
藤井氏の主張は、目先の少額給付や一過性の対策ではなく、消費税減税のような構造的な措置こそが国民の可処分所得を大幅に増やし、より大きな経済効果をもたらすという点に集約されます。同氏は、選挙前のバラマキ的な政策に惑わされず、本質的な経済対策について冷静に見極めるよう呼びかけました。