沖縄戦での日本軍の行動を美化しようとする政治家の発言の背景には「根拠がなくても堂々と主張すれば騙せる」という“悪しきトレンド”がある


【写真】のどを切りつけ自殺を図ろうとした沖縄の女性

南西諸島では「またこの島々が戦場になるんじゃないか」という不安の声を耳にする

沖縄戦についてはものすごく膨大な記録があります。沖縄県全体でも各市町村でも、戦争体験者の証言を記録したものが膨大にある。本当はそれを全部読みたいのですが、現実的には難しい。

この本では、林先生が長年そういう膨大な記録を読んで、その中から重要な証言をピックアップしてくださっているので、「単にこういうことがあった」という事実だけではなく、実際にあの戦場にいた一人ひとりの人間の生の声も知ることができて、マクロの目とミクロの目の両方で、沖縄戦の全体像を把握できる。初めて沖縄戦について学ぶ人にとっても、私のように、もう一度学びなおそうという人にとっても、本当に最適の本だと思います。

近年、沖縄を含む南西地域では「防衛体制」の強化が急ピッチで進められていて、私も鹿児島県の大隈おおくま諸島から沖縄県の先島さきしま諸島にいたる島々を回って軍備強化の取材を続けてきたんですが、島の人たちから「この島が戦場になるんじゃないか」という不安の声を、特に戦争を体験した世代から耳にすることが多いんです。

そうならないように、沖縄戦の記憶を風化させず、教訓をしっかりくみ取ることが今、特に大事だと感じます。そういう意味でも、ぜひ多くの人に読んでほしい本だと思います。



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