米国のイラン核施設爆撃に中国が反応 「中東で足止め、対中牽制遅延」と分析

米国がイランの核施設を爆撃。中国はこれを強く非難し、米国の戦略、特に中国への対抗策への影響を分析しています。中国政府は、この軍事行動を国際法違反と指摘、懸念を表明しました。

中国外交部の公式声明

中国外交部は、米国のイラン核施設爆撃に対して強い非難声明を発表しました。声明では、「国際原子力機関(IAEA)が監視する核施設への攻撃は、国連憲章の原則と国際法に深刻に違反する行為である」と指摘し、米国の行動を糾弾しています。

中国国営メディアの戦略分析

新華社傘下のSNS「牛弾琴(ニュウタンチン)」は、今回の爆撃で米国がイランの報復と中東の混乱に足を取られ、中東からの撤退および「東方の大国」(中国)への対応計画を延期せざるを得なくなると予測。米国の行動を「宣戦布告なき戦争の開始」「主権国家に対する公然とした侵略」と批判。中東全域への混乱拡大を警告しました。

牛弾琴はトランプ氏の発言を軽視し、イラン指揮部が非対称攻撃を開始する可能性を警告しました。特にイラン議会によるホルムズ海峡の封鎖承認に触れ、実現すれば国際原油価格が暴騰し中国にも影響が出ると懸念を示しています。「中国は侵略を非難し平和を要求するが、大きな戦争の時代を迎えて、さらに猛烈な嵐と風雨に備えなければならない」と結論付けています。

中国国内メディアの報道姿勢

党機関紙「人民日報」は関連記事を異例にも総合面ではなく16面の国際面サイドに掲載し、国内でのイシュー拡散を抑制する姿勢を見せました。同紙は、イラン外務省が米国の爆撃を「野蛮な軍事侵略」として強く非難したとする内容を伝えています。

中国中央テレビ(CCTV)は前日のメインニュースの10番目の項目として、3分11秒のボリュームでイラン爆撃を報じました。この放送では、「イランは事前に3カ所の核施設から撤退を断行しており、これらの区域における放射性物質の漏出はなかった」と強調するイラン側の主張が伝えられました。

イラン核施設爆撃を報じる中国中央テレビ(CCTV)のニュース画面。22日のメインニュースで伝えられた内容を示す。イラン核施設爆撃を報じる中国中央テレビ(CCTV)のニュース画面。22日のメインニュースで伝えられた内容を示す。

国連での中国の動き

中国の傅聡(ふ そう)常駐国連代表は、緊急招集された安全保障理事会で、中国、ロシア、パキスタンが即時かつ無条件の停戦、民間人保護、国際法順守、対話と交渉を求める安保理決議案草案を提案したことを明らかにしました。これは、安保理レベルでの早急な措置を求める中国の立場を示すものです。

今回の米国のイラン核施設爆撃に対し、中国は公式に非難の立場を取りつつ、国営メディアを通じてその戦略的な影響を分析しています。特に、この事態が米国の対中戦略を遅延させる機会となりうるとの見方は、中国の国際情勢に対する自己都合的な解釈を反映しています。中国は、中東情勢の混乱が拡大する可能性や自国への潜在的な影響(例:原油価格)を指摘しつつ、国際社会には平和的解決と国際法順守を強く求めていく姿勢を示しています。

参照元

Yahoo!ニュース – 「米国のイラン核施設爆撃に中国が反応 「中東で足止め、対中牽制遅延」と分析」