【ワシントン、カイロ】米国のトランプ大統領は２３日、自身のＳＮＳでイスラエルとイランが「完全かつ全面的な停戦」で合意したと発表した。２４日には双方の攻撃停止を取り決めた合意が発効したと重ねて発表したが、その後も双方による攻撃の応酬があり、緊張状態が続いている。この発表は、中東情勢に関する重要な進展として注目されている。
合意の詳細とトランプ氏の呼びかけ
トランプ氏が２３日に説明した内容によると、停戦合意は米東部時間２４日午前０時（日本時間同日午後１時）に発効した。合意ではまずイランが攻撃を停止し、その１２時間後にイスラエルも攻撃を停止するとしている。さらに、合意発効から２４時間後に戦争を終結させることを目指しており、米東部時間２５日午前０時（日本時間同日午後１時）までの停戦実現が想定されている模様だ。
米国側は、イランと強いつながりを持つカタールとも緊密に協力し、今回の停戦実現に向けて働きかけを行った。トランプ氏は「両国が『１２日間戦争』を終えることを祝福したい」と述べ、この紛争が長引き中東全体を破壊する可能性があったと強調した。合意発効の宣言直後には、「お願いだ、破らないでくれ」と異例の呼びかけを行い、合意の履行を強く願う姿勢を示した。
双方の反応
イスラエル首相府は２４日に声明を発表し、イランの核開発と弾道ミサイルの脅威を排除するための軍事作戦で「全ての目標を達成し、成果を得た」と説明した。その上で、トランプ氏による停戦案に合意したことを明らかにした。
一方、イランの最高安全保障委員会も２４日に声明を発表し、「勝利が敵に敗北と侵略停止の受け入れを余儀なくさせた」として、イスラエルとの交戦が終了したことを認めた。イラン大統領府によれば、マスード・ペゼシュキアン大統領は２４日、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相との電話会談で、イスラエルが停戦を破らなければイランも破らない方針を表明した。また、（米国との）交渉の用意があり、国際的な場でイランの権利を主張したい意向を示した。
発表後の攻撃応酬
停戦合意の発効が発表された後も、実際には双方からの攻撃が発生した。合意発効の発表から約２時間後、イスラエル軍はイランから自国に向けてミサイル２発が発射されたと発表した。イスラエル軍はこの攻撃を合意違反であると主張し、イランの首都テヘランにあるレーダー関連施設を攻撃したことを明らかにした。これに対し、イラン軍側はイスラエルから３度にわたって攻撃を受けたと説明しており、それに対する反撃を行ったと発表している。
停戦合意発表前日、カタール上空で行われたイランのミサイル迎撃
まとめ
トランプ米大統領がイスラエルとイランの間の「完全かつ全面的な停戦」合意を発表し、これが２４日に発効したとされた。イスラエル、イラン双方もそれぞれ異なる立場から交戦の終了を認め、停戦案への合意や交渉の用意を表明した。しかし、合意発効後も互いにミサイル攻撃や反撃を行ったと発表しており、公式発表とは裏腹に、依然として地域情勢は不安定な状態が続いている。今後の展開が注視される。
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