街頭に立てば多くの人が握手を求め、熱狂的な支持を集める小泉進次郎氏。政界では彼を「次の総理」に推す声が高まっています。しかし、永田町関係者からは、その人気の裏で気になる評判も聞かれます。
高まる「次の総理」待望論とその背景
2024年6月14、15日に実施された産経新聞社とFNNによる世論調査では、次の首相にふさわしい政治家として、小泉進次郎農林水産相が20.7％の支持率でトップに立ちました。これは2位の高市早苗前経済安全保障担当相に4.3ポイントもの差をつける結果です。特に18～29歳、60代、70歳以上の層で首位を獲得し、70歳以上では圧倒的な強さを見せています。この調査結果は、進次郎氏の依然として高い人気を明確に示しています。
一方で、「気候変動のような大きな問題はセクシーに取り組むべき」「今のままではいけないと思います。だからこそ日本は今のままではいけない」「30年後は何歳かな」といった、その真意を測りかねる独特の「進次郎構文」は、時に有権者を困惑させてきました。
永田町からの評価と実像
永田町からは、人気の高さとは裏腹な厳しい声も上がっています。ある自民党のベテラン衆議院議員は、進次郎氏の経歴として国対副委員長や安保委員会筆頭理事などを挙げつつも、「政治家として中身がないことが、2024年の自民党総裁選への出馬を見送った際に露呈した面もある」と指摘します。それにも関わらず、最近の「米騒動」への対処で再評価されていることには驚きを示し、「やはり“何か持っている男”なんですよ！」と評しています。
進次郎氏の評価が急上昇したきっかけは、「米が売るほどある」発言で江藤拓前農水相が事実上退任したことでした。前出のベテラン議員によると、当初、後任候補には農政に詳しい齋藤健元農水大臣や宮下一郎元農水大臣ら3人の名前が挙がっていました。齋藤氏本人もその意向があったとされますが、石破茂総理が刷新感を重視し、メディアでの発信力を見込んで進次郎氏を強く指名した、というのが内情です。
政治記者も同様の見方をしています。「目立つし、大したことを語らないのに、なぜか発信力がある」としながらも、「農林部会長の経験はあるものの、それほど農政には詳しくないため、国会答弁など危ない場面では官僚がアドバイスしている」と、専門知識の不足を指摘します。
指摘される「勉強不足」と仕事ぶり
政治家としての力量不足や勉強不足を指摘する声は多く聞かれます。ある自民党関係者は、進次郎氏がかつて野球少年だったことに触れ、「よくスタッフとキャッチボールをしていると聞く」と語ります。「息抜きする時間は大切ですが、不勉強な進次郎さんを見ると、“1本も法案を通したことがないくせに、遊んでばかりいる”と捉えられかねません」と、手厳しい見方をしています。
小泉進次郎農水相、愛用の野球グラブを手に。スタッフとのキャッチボールなど、リラックスした一面を示す写真。
このような批判的な見方がある一方で、マイナスポイントを補ってあまりある進次郎氏のパフォーマンス力には定評があります。
妻・滝川クリステルの影響とイメージ戦略
進次郎氏のイメージ戦略には、妻である滝川クリステルさんの影響があるとの見方もあります。全国紙記者は、「政治家の戦闘服といえば、オーダーメードの高級スーツが定番。しかし進次郎氏のスーツは、細身で体にフィットしているものの、庶民感覚に合うように高級感は控えめ」と分析します。「人からどう見られるか熟知している、アナウンサー出身のクリステルさんのイメージ戦略があるはずだ」と指摘しています。
食生活に見る「パフォーマンス」と実態
備蓄米放出の際には、報道陣を招いた試食会でおいしそうに食べるパフォーマンスを見せました。「ですが、あのとき以来、古古古米を食べている進次郎さんの姿は見ていません」と政治記者は語り、その後の行動との乖離を指摘します。
一方で、彼がよく口にしているのはカップ麺などジャンクフードだといいます。「“カップ麺ばかりでなく、もうちょっと古古古米のアピールをしたほうがいいんじゃないか”と感じてしまいます」と、記者も疑問を呈しています。
小泉進次郎農水相、車内でカップ麺を食す。多忙な中での手軽な食事や、報じられる食生活の一端を示す写真。
食事に関しては、環境相時代に「毎日でもステーキを食べたい」と語ったこともありますが、自民党関係者によると、「クリステルさんは家では肉より野菜中心の食事を作るため、その反動で外ではジャンクな食べ物が多くなるようだ」とのこと。普段の食事は牛丼や弁当など、手軽に一人で済ませることが多いと見られています。
実際、6月18日には自身のインスタグラムで、車内で一人牛丼を食べる動画を突如公開し、多くの有権者を困惑させました。
結論
小泉進次郎氏の「次の総理」への待望論が高まる背景には、世論調査での高い支持率やメディアでの注目度の高さがあります。特に高齢者層からの根強い人気は特筆すべきです。しかし、永田町内部からは、政治家としての経験や勉強不足を指摘する声、その言動や食生活に見られるパフォーマンスと実態との乖離に対する疑問も呈されています。野球やジャンクフードに関するエピソードは、人間味を示す一方で、その政治姿勢や真剣さを問われる側面も持ち合わせています。国民からの高い人気と、永田町からの冷静あるいは批判的な評価。このギャップこそが、小泉進次郎という政治家の現状と、彼が今後「次の総理」への道をどう進むかを見通す上で注視すべき点と言えるでしょう。
