イスラエル軍作戦成功の裏側:モサド「人的情報」が決定要因 AFPIフライツ副所長

トランプ米政権に近い有力シンクタンク、米国第一政策研究所(AFPI)のフレッド・フライツ副所長は27日、東京都内で産経新聞のインタビューに応じた。最近のイスラエルによるイランへの一連の攻撃について、イスラエル対外特務機関モサドの人的情報収集(ヒューミント)が作戦成功に決定的な役割を果たしたとの見解を表明した。

東京都内で産経新聞の取材に応じる米国第一政策研究所(AFPI)のフレッド・フライツ副所長東京都内で産経新聞の取材に応じる米国第一政策研究所(AFPI)のフレッド・フライツ副所長

フライツ副所長の経歴と分析

フライツ氏は、第一次トランプ政権下で大統領副補佐官や国家安全保障会議(NSC)首席補佐官などの要職を歴任した人物である。長年にわたり、中央情報局(CIA)、国防情報局(DIA)、国務省といった主要な情報機関や省庁で勤務し、特にイランや北朝鮮の核開発問題に深く関与してきた経験を持つ。

モサドの内部情報網

フライツ氏は、イスラエルによるイラン国内での情報収集活動に言及し、「(イランで活動していた)モサドの諜報員は、イラン政府や軍の関係者だったが、亡命後にイスラエル政府のために協力するようになった元イラン人だった」と明かした。イスラエル側がイランの軍や政府関係者を説得し、彼らを寝返らせて情報源として活用してきた具体的な実態があることを指摘した。

具体的な作戦事例

今月13日に行われたイスラエルによるイラン攻撃の一環として発生した、あるイラン将校の殺害事例を挙げ、モサドのヒューミントがどのように機能したかを説明した。モサドが「安全が確保された場所」であると偽るメッセージを将校に送信し、面会の約束を取り付けた上で指定の場所へおびき出したという。その後、イスラエル軍がその場所を正確に爆撃し、将校を殺害したとしている。

フライツ氏は、モサドの諜報員がイラン国内でこれほど広範かつ効果的に活動し、しかもイランの指導層がその全容を把握できていなかったことは「驚くべき事実だ」と語った。

イランの弱体化と中東情勢の変化

一連の米国とイスラエルによるイランへの軍事行動や情報工作の結果、「イランの周辺諸国に対する影響力や地域における軍事的な力は著しく低下した」との分析を示した。今後、米国がイランとの協議を通じて核開発放棄を追求する中で、仮にイランがこれに応じない場合についても言及。その際には、「イランが不必要な介入をすることなく、米国が主導して中東全体の安定を促進させる機会が生まれる可能性がある」とし、イスラエルと一部アラブ諸国の国交正常化を進める「アブラハム合意」が、さらに多くの国へと拡大していく可能性を示唆した。

トランプ氏のリーダーシップ

フライツ氏はまた、過去の米軍によるイラン核施設攻撃などを振り返り、「トランプ大統領(当時)が、自らの言葉を行動に移す断固たるリーダーであることを証明した」と強調した。イラン、ロシア、中国といった米国に対して敵対的あるいは非友好的な姿勢をとる国々と向き合う上で、「トランプ氏が示したような決断力は、米国の国益にとって非常に有利に働く」と述べ、そのリーダーシップスタイルを評価した。

まとめ

AFPIのフレッド・フライツ副所長の分析は、イスラエルがイランに対して行った最近の作戦において、モサドによる高度な人的情報収集がいかに決定的な役割を果たしたかを具体的に示している。元イラン人の協力者や政府・軍内部の情報源を活用したモサドの活動は、イラン国内の脆弱性を浮き彫りにした。米国とイスラエルの連携した行動は、イランの地域における影響力を低下させたとみられており、今後のイランの核開発を巡る動向次第では、中東における地政学的なバランス、特にアブラハム合意の更なる拡大に繋がる可能性も示唆された。また、フライツ氏は、こうした状況におけるトランプ氏のような「有言実行」型のリーダーシップが、現在の国際情勢において米国にとって有効な戦略となり得るとの見方を示した。

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