93歳・大村崑さんが語る「幸齢期」の秘訣 自宅でできる簡単健康法

厚生労働省の「令和5年簡易生命表の概況」によれば、2023年の日本の平均寿命は男性81.09年、女性87.14年です。80歳以上の高齢者が増加する中、「90代は楽しいですよ。ぼくは今、最高に幸せです」と語るのは、93歳を迎えた喜劇役者、大村崑さんです。大村さんは、自身の高齢期を「幸齢期」と表現し、その秘訣を著書『93歳、崑ちゃんのハツラツ幸齢期』で紹介しています。本記事では、同書から、高齢期を活動的に過ごすための自宅でできる簡単な健康法の一部を抜粋し、ご紹介します。

喜劇役者・大村崑さん、93歳の笑顔喜劇役者・大村崑さん、93歳の笑顔

手指の健康を保つ「新聞紙エクササイズ」

大村さんは週2回ジムに通うほか、自宅でのすきま時間を活用したトレーニングを習慣にしています。誰でも簡単にできるものとして、まず手指の運動を紹介しています。

新聞紙エクササイズのやり方

読み終わった新聞紙1枚を半分に畳み、テーブルに置きます。背筋を伸ばして椅子に座り、片手で新聞紙の中央をつかみます。指先を使いながら新聞紙を手繰り寄せ、全体をできるだけ小さく丸めていきます。丸めた新聞紙を力強く握りしめ、その状態で10秒数えます。これを反対の手でも同様に行います。

大村さんは、何十年もテレビを見ながらこの運動を続けているそうです。この簡単な動作だけで握力が鍛えられ、加齢とともに動かしにくくなる手指の関節の可動域を広げる効果が期待できます。お店で小銭を出す際に指が思うように動かない、といった困りごとの予防にもつながるとのことです。ただし、手のひらがインクで汚れることがあるため、近くにおしぼりやウェットティッシュを用意しておくと良いでしょう。

足腰を鍛える「足指ゴルフボール」

もう一つ、自宅で簡単にできるのが足指を使ったトレーニングです。これは足の裏や指の筋力を鍛え、転倒予防に効果的だと言われています。

足指ゴルフボールのやり方

椅子に座った状態で、ゴルフボールを足の裏の前の方(足指の付け根あたり)で踏み、前後にコロコロと転がします。次に、足の指を使ってゴルフボールをギュッとつかみます。慣れてきたら、ボールを落とさないようにそのまま持ち上げてみましょう。

この運動は、足の裏を柔らかくし、足指の筋力を高めるのに役立ちます。トレーニング関連の書籍によると、足指の筋肉が衰えると地面をしっかりと踏みしめることが難しくなり、転倒のリスクが増加するとされています。特に高齢者にとって、転倒による骨折は寝たきりにつながる恐れもあるため、足腰の強化は非常に重要です。

大村さんは、普段からテーブルの下にゴルフボールを置いておき、手が空いたときに足指でボールをつかんで持ち上げることを習慣にしているそうです。奥様の瑤子さんも、足の指で見事なグー、チョキ、パーができるそうで、これは足指の筋肉が発達している証拠だと語っています。大村さんも奥様に負けじと、日々の足指トレーニングに励んでいるとのことです。

大村崑さんの著書『93歳、崑ちゃんのハツラツ幸齢期』表紙大村崑さんの著書『93歳、崑ちゃんのハツラツ幸齢期』表紙

結論:日々の小さな積み重ねが「幸齢期」を作る

93歳にして「最高に幸せ」と語る大村崑さんの「幸齢期」を支えているのは、ジムでの運動に加え、今回ご紹介したような自宅で簡単にできる日々の地道なトレーニング習慣です。新聞紙を使った手指の運動や、ゴルフボールを使った足指の運動は、特別な道具や広いスペースを必要とせず、テレビを見ながらや家事の合間など、まさに「すきま時間」を活用して行えます。これらの小さな積み重ねが、高齢期における身体機能の維持・向上につながり、活動的で幸福な日々を送るための基盤となるのです。大村さんの実践は、私たちが高齢期をどう生きるか、健康をどのように保つかについて、シンプルながらも示唆に富むヒントを与えてくれます。

参考文献

  • 厚生労働省:令和5年簡易生命表の概況
  • 大村崑 著:『93歳、崑ちゃんのハツラツ幸齢期』(中央公論新社)
  • 元記事掲載サイト: Yahoo!ニュース / 婦人公論.jp