国民民主党から参院選比例代表の公認を見送られ離党した山尾志桜里元衆院議員(50)が1日、都内で会見し、無所属で東京選挙区(改選数6)から立候補することを表明しました。3日公示、20日投開票の参院選に向け、激戦が予想される東京選挙区に新たな動きが加わります。山尾氏は先月10日の出馬会見と同様、不倫問題については詳細を語らず、「このスタンスを含め有権者には判断してほしい」と述べました。
会見はJR中央線吉祥寺駅近くに急きょ構えられた事務所で行われました。山尾氏の顔がアップのポスターが複数貼られているものの、殺風景な室内にはパイプ椅子が足りず、報道陣の一部は床に座る状況でした。山尾氏は出馬を「28日に決断した」と述べ、ドタバタぶりがうかがえる手回しとなりました。「会場が広くなくてすみません」と頭を下げながら現れた山尾氏は、無所属での東京選挙区からの立候補について説明を始めました。
参院選 東京選挙区への無所属出馬を表明する山尾志桜里氏の記者会見
山尾氏が無所属を選んだ理由として挙げたのは、左派と右派の分断が進む現状で「中道政治を諦めない」という決意です。女性天皇の容認や、憲法改正による安全保障の実現など、既存の政党が避けがちな国家観に関するテーマを、「無所属だからこそ自由度高く、正面から掲げていく」と強調しました。これにより、幅広い有権者に自身の政治理念を訴えたい考えを示しました。
山尾氏は今年5月、国民民主党からの擁立が発表され、6月10日に参院選出馬表明会見を行いました。しかし、2017年に報じられた不倫疑惑に関する質問が相次いだ際、回答を避け続けました。この対応を受け、翌11日に国民民主党の玉木雄一郎代表は「十分な理解と信頼が得られない」として公認見送り(比例代表)を決定しました。これに対し、山尾氏は12日に「統治能力に深刻な疑問を抱いている。今後は一線を画す」とする長文の文書を党に提出し、離党に至りました。
今回の無所属出馬は、国民民主党への“リベンジ出馬”という見方も一部でありますが、山尾氏は会見で「(その考えは)ゼロです」と否定しました。しかし、党や所属議員への「怒りはない」と述べる一方で、国民民主党について「公党ですから」「公党として」という表現を繰り返し用いる場面も見られました。党の決定やその後の経緯に対する複雑な思いが垣間見えました。
不倫疑惑については、この日も一貫して「私生活の問題」として詳細を語ることを避けました。手元のペーパーに目を落としながら、用意していたと見られる想定問答に沿って、「関係者のプライバシーを傷付けかねない発言はしないというのが私のスタンス。そのスタンスを含め、有権者の皆さまにご判断いただきたい」と述べ、自身の対応そのものを有権者に問う姿勢を示しました。
東京選挙区は、欠員1の補欠選挙と合わせ7議席を争うことになり、20人以上の出馬が予想される全改選区の中でも特に競争が激しい選挙区の一つです。前回2022年の選挙では、自民党が2議席、公明党、共産党、立憲民主党、れいわ新選組がそれぞれ1議席を獲得しました。今回は自民党が現職に加え、鈴木大地氏が出馬を予定しており、日本維新の会からは元職の音喜多駿氏が立候補を表明しています。欠員は、昨年の東京都知事選に出馬した立民の蓮舫氏の自動失職に伴うものです。7位当選者の任期は3年間となります。このような激戦区で、有権者の目に“山尾氏のスタンス”がどう映るかが注目されます。
大阪市では、歌手の世良公則氏(69)が大阪選挙区(改選数4)から無所属で立候補する意向を示しており、今回の山尾氏と同様に政党に属さない候補者の動向も関心を集めています。