7月20日に投開票が迫る参院選において、その動向が注目されている政治団体、参政党。代表の神谷宗幣氏(47)や各候補者の言動は、連日大きな関心を集めています。例えば、7月14日には東京選挙区の参政党候補者へのインタビュー動画がロシア国営メディア「スプートニク」のXアカウントに投稿され、「ロシアのプロパガンダに利用されているのでは」との波紋を呼びました。これに対し、神谷氏は自身のX(旧Twitter)で「私も広報部も許可を出していません。現場と党の末端の職員が勝手にやってしまったので、その職員には厳しい処分を下しました」と釈明するなど、対応に追われる事態となりました。
参政党の神谷宗幣代表が自身のX(旧Twitter)に投稿した釈明文のスクリーンショット。ロシア国営メディア『スプートニク』への候補者インタビュー動画について、党が許可していないと説明している。
このような状況下で、参政党にまつわるもう一つの「疑惑」がSNS上で拡散しています。それは、「所在地の住所を転々と変更するペーパー会社に、多額の政治資金を支出しているのではないか」というものです。
4年間で所在地を4回移転した「ヴォストーク合同会社」
この疑惑の中心にあるのは、「ヴォストーク合同会社」という企業です。参政党が公開した2023年分の政治資金収支報告書によると、この会社に対して党から多額の資金が支出されていることが確認できます。具体的には、1月に広告費として約3600万円、6月には情勢調査費として約190万円など、合計で約4600万円が支払われています。
しかし、このヴォストーク合同会社については、不透明な点が指摘されています。公式サイトが見当たらないだけでなく、2021年の設立以来、東京都渋谷区、兵庫県神戸市、同県明石市と、わずか4年間で所在地の住所を4回も移転しているのです。「ヴォストーク」という社名がロシア語で「東」を意味することも、一部で「ロシア関連のペーパー会社ではないか」という疑念の声が高まる一因となっています。
同社の最新の登記簿によると、現在の所在地は兵庫県明石市であり、代表社員は明石市在住の女性とされています。週刊文春の記者がこの住所を訪ねたところ、代表社員の夫が取材に応じました。
代表の夫が語る「ヴォストーク合同会社」の実態と釈明
ヴォストーク合同会社の代表社員の夫は、同社が広告代理店であり、映像制作やロゴ作成を手がけていると説明しました。参政党のロゴも作成したと述べ、情勢調査についても実施したことを認めています。調査内容は「参政党の認知度がどのくらいあるか、どうすれば国民の意識が変わるか、他党とはどういった差があるのか、といった調査」であったと語っています。
神谷氏への助言についても問われると、「そうですね。『こういうことを調べると、こう変わるよ』とか」と、参政党との仕事上の関係を認めました。しかし、「最後に仕事したのは2023年のはず。去年はやってないんじゃないかな。ウチは参政党だけじゃないですからね。他の党(の仕事)もやっていますよ」と、参政党以外の顧客もいることを強調しました。
SNS上で「ロシアのペーパー会社ではないか」と指摘されていることに対しては、「ロシアのペーパーカンパニーだったら、あえて『ヴォストーク』って名前にしないで、むしろ『明石商業』とかにするでしょう」と強く否定しました。
また、頻繁な住所移転の理由については、「住所を(頻繁に)移しているじゃないですか。これは、ペーパー会社だからではなくて、アンチの方々が来るのが嫌だから。街宣とかも(アンチが)めっちゃ多かったじゃないですか」と、参政党の活動を妨害する「アンチ」の存在が背景にあると説明しました。
参政党、続く波紋と有権者の審判
「スプートニク」騒動に続き、政治資金を巡る「ペーパー会社疑惑」が浮上するなど、参政党は各地で様々な波紋を呼んでいます。こうした一連の疑惑や、党関係者の釈明に対し、有権者がどのような判断を下すのか、参院選の結果が注目されます。
参考文献
- 「まるで怪文書」専門家はバッサリ…神谷代表が「政権入りを目指す」と宣言、参政党の政策&憲法草案を「週刊文春」が“徹底検証”した, 週刊文春.
- 参政党の神谷代表と妻の神谷ふみ氏, 週刊文春.
- 参政党の2023年分の収支報告書(公開情報より)