トランプ米大統領は1日、南部フロリダ州の新たな移民収容施設を視察した。ワニなどの野生生物が生息する湿地帯にある空港内に設置され、脱走すればワニに襲われる恐れがあるという。1900年代半ばに「脱出不可能」と言われた、サンフランシスコ沖に浮かぶアルカトラズ島の刑務所にちなみ、「アリゲーター・アルカトラズ」(デサンティス知事)と呼ばれて物議を醸している。
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米CBSニュースによると、トランプ氏は「刑務所から脱走した場合、アリゲーターから逃げる方法を教えてやる」と冗談めかして語った。多くの州に同様の施設を設置したい考えを述べ、不法移民対策を強力に推進する姿勢をアピールした。
施設は不法移民を収容するため、数千床のベッドを備える予定。少なくとも200台の監視カメラと400人以上の警備員、24時間体制の空調設備が設置される。視察に同行したデサンティス氏はこの施設について、連邦政府の不法移民送還を支援するため8日間の短さで改装されたと説明し、2日に最初の収容者が到着すると述べた。
不法移民対策を巡り、トランプ氏は大規模な強制送還に向け、一時的な収容施設を増やそうとしている。今回の施設もその一環とみられる。「本家」のアルカトラズ島の刑務所についても、5月に司法省などに再開を指示したと明らかにしている。
施設はエバーグレーズ国立公園近くの湿地帯の空港敷地内に位置している。環境保護団体は連邦法で義務づけられた環境影響評価が実施されるまで施設の開設を阻止する訴訟を起こした。地元の民主党議員からは「冷酷な政治パフォーマンス」と非難の声が出ている。【浅川大樹】